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くっつけていた額を離し、二人は足を崩して隣り合わせに座り直した。 (……ほやけど、よう考えたらさっきのって、千早に結婚しようって言ったも同然やな……うわ、何か今更ドキドキしてきてもた……それに、千早が最初に聞いてきた話もや……) 将来子供が出来たら、誕生日やクリスマスにはかるたを休んで一緒に祝ってやりたいという話。あれも「二人の間に」という前提で話した事だった。そんな会話をするなんて、まるでもう婚約しているようで、新は身体がふわふわと浮いているような気がしてしまう。 「千早はきっと、ウエディングドレスとか似合うやろな」 心に浮かんだまま、新は呟いた。 「……えっ? 新、急にどうしたの?」 千早が目を丸くして聞き返してくる。 「ん? いや……さっきおれが言うた事とか、その前のおれらに子供が出来たらって話とか、なんかもう結婚決まったみたいな感じの話やったでさ。どんな風になるやろってちょっと想像してもた」 小さく笑って新は千早に言葉を返した。 「健やかなる時も病める時も支え合う事を誓いますか、だったっけ? ……ちょっと、やってみる? リハーサル」 千早が少し照れたような笑みで言ってくる。 「え、リハーサルって」 新が聞き返すと千早はコホン、と一つ咳払いをして新に顔を向けて口を開く。 「綿谷新、汝はこの女を妻とし、健やかなる時も病める時も支え合う事を誓いますか」 少し気取った声で、千早は神父の言葉を口にした。 (え、マジでやるんか? ……まあ、たまにはいいか) 「……はい、誓います」 新はそう答えてから、千早に同じ事を聞き返すと、千早はよそ行きのような声で同じ答えを返してきた。 「えっとそれで、何だったっけ? あ、指輪交換して……で、最後に誓いのキス……」 新の顔がゆっくり近づき、千早の唇をそっと塞ぐ。 唇が離れると、千早の照れ臭そうな顔が目の前にある。新は片手を伸ばして千早の頬に触れると、千早も自分の頬を新の手のひらに軽く押しつけてきた。その仕草に愛おしさがこみ上げてきて、新は頬に触れたままもう一度唇を重ねた。 「……っ、……っふ……」 時折漏れる吐息が新を駆り立ててしまう。キスを解き、千早の耳元で囁いた。 「千早……おれ、今……欲しい。千早、が」 肩をぴくんと震わせて顔を上げてきた千早の瞳が潤んでいる。 「……うん」 その言葉に力を得て、三度目のキスをしながら千早の身体を床に倒す。素直に仰向けになった千早の腕が新の背中に回された。新のキスがさらに深くなる。舌を差し込み、歯列をなぞり、千早の濡れた舌と絡ませるたびに、千早の吐息がどんどん荒く、艶っぽい色を帯びて、新を夢中にさせ、もっとその声を聞きたいと貪欲にさせた。 カットソーをたくし上げてその下に手を滑り込ませると、滑らかな肌とブラのレースだろうか、ざらっとした二つの感触が新の手を迎えた。 「んんっ……ん、あっ……」 ブラの上から柔らかな乳房を揉みしだき、キスを今度は千早の耳や首筋にいくつもいくつも降らせていく。 「あ、あっ……や、そこ弱い……から、っ……」 「……知ってる。ほやでいいんや。……千早が可愛い声出すって、知ってるで……」 耳元で言った後、耳朶の裏に舌を這わせると千早の身体がびくんと大きな反応を見せた。カットソーを脱がせ、ブラのホックを外すと千早の胸元のピンクの粒は既に可愛らしい自己主張を見せていた。そこを指の腹でそっと転がす。 「……んっ、あ、あ、らた……ぁっ……」 もう片方を口に含むと千早の反応はますます大きくなる。スカートのホックとジッパーを下ろして布地をぐっと押し下げ、自分の膝や爪先で千早の足首あたりまで下ろした。何のためにあるのか未だに分からない、小さなリボンが付いているショーツの上から千早を確かめるように指で触れてみる。 「あんっ、やっ、……あ、あ……っ!」 布地越しでも千早の蜜が溢れているのが分かり新の喉がごくりと鳴る。凄く勿体なかったが一度身体を離し、新は着ている物を手早く脱いで自分も下着一枚になった。すでに張り詰めているそこから溢れた露で自分のボクサーショーツもじっとりと湿っている。 (なんで、いつもこんな我慢利かんのやろ、おれ……) 初めての時の無我夢中さとは少し違う。千早と抱き合う度に自分の中の新しい欲に気付かされ、それを知りたくて我慢ができなくなってしまうのだ。 「……千早、変な事やけど……聞いても、いいか?」 細い身体をそっと抱き締めながら口を開くと、腕の中で千早がもぞりと動き応じる意志を見せた。 「おれ……おれは、こうやってると……その、すぐにでも欲しなってまうんやけど……千早は、どうなんかなあ……って、思って……千早から言われた事、ないでさ」 自分の拙い愛撫でも千早が感じてくれているのは流石に新も分かっている事だが。 「……新と、ひとつにって、意味? ……そ、れだったら……うん」 顔を見られるのが恥ずかしいのか、千早は窮屈な姿勢から腕を抜き、新と頬を合わせるように抱きついてきた。 「わ、私も、新が……欲しい」 蚊の鳴くような声が鼓膜に届く。千早の素直さはこういう時でも発揮されるのかという驚きと、恥ずかしいだろうに言ってくれた事への喜びで新の胸がどうしようもなく高鳴る。 「……おれも、もう我慢できんわ」 千早の耳元に返して腕を解き、新は千早が身に着けている最後の一枚を押し下げ、片手で本棚の救急箱を手繰り寄せて中身を探った。 「あ、また忘れるとこやった」 バネの利いた動作で立ち上がった新は押し入れから布団を出して千早のすぐ横に手早く敷くと、両腕で千早を抱えてその上に横たえさせた。弾みで千早の髪がふわりと波打ち、形よく盛り上がったふたつの胸がふるりと揺れるのが視野に飛び込んできた。 (初めて見たかも知れん……いや、今まで余裕なかっただけか、おれが) 何を馬鹿な事を考えているのかと自分に苦笑して新はボクサーを脱いでゴムを付けると、千早の上に覆い被さった。肌が伝えて寄越す温もりを喜ぶように千早の腕がまた新の背中に回された。 「千早」 名を呼ぶと千早は素直に顔を上げてくる。その額に唇を寄せ、閉じた目蓋にもキスを落とす。唇が触れる度に千早の指先が新の背中を彷徨う。少し身体をずらして深く口付けると這い回っていた指先が新の背中にしがみついてきた。 「……ぁ、ん……っ、……はぁ……っ」 キスの合間に漏れる吐息にまた色が混じり、身体の下で千早が時々もじもじと下肢を動かしているのが分かる。新の指がそっと茂みを掻き分けながらそこへ滑り込む。 「んっ……!」 くぐもった声がキスを続けたままの新の口腔に飛び込んできた。 指先で感じるぬめりを掬い上げ、傷つけないようそっと襞を開くと、千早の入口から待ち構えていたようにとろりとした蜜が新の指を濡らす。そのまま少し指先を進めると千早の背中が柔らかく撓った。 「あ、あ……っ、ん、あぁ……っ!」 背中に回していた片手がぱたりと落ち、軽く握り込まれて千早の額に乗っている。新が指を動かすと、額の手はそのままに千早の唇から甘い声が漏れた。 「やぁ……新ぁ、いじわる、しないで……」 「……え?」 顔を赤らめた千早が消え入りそうに言葉を紡ぐ。 「もう、が、我慢……できない、から……」 (……焦れたりすんのって、おれだけかと思ってた……) 「……うん」 ひとつ頷くと、新は自分の足で千早の両足を割り、できた隙間に身体を潜り込ませた。 |