25.5 (Parallel)
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目が覚めきっていなかった千早に湯をかけられて、新の着ているTシャツがぺったりと貼り付く。 「ご、ごめんっ!」 慌てた千早が湯船から立ち上がり、急いで新は背中を向けた。 「いや、服濡れただけやし……」 大丈夫、と言いかけたが大きなクシャミで言葉が途切れてしまう。背後で大きな水音が聞こえた。 「……え?」 ずぶ濡れのTシャツの背中に千早が飛びついてきたのが分かり、新は驚きで棒立ちになった。 「風邪ひいちゃったら悪いよ。……こっち来て」 「え、いや、千早……だ、大丈夫やし……って言うか……」 この狭い風呂場で下手に動けば千早に怪我をさせてしまうだろう。かと言って振り返れば至近距離に裸の彼女が居る。それ以前に自分の身体が既に見れば分かるだけの変化をきたしてしまっている。 「や、ほんとこの状況、おれ……まずいし……」 言いかけた新の背中がびくりと震えた。千早の手が濡れたTシャツをたくし上げようとしていた。 「だって新がこれで風邪引いたら私の責任だもん。……ちゃんと暖まってから出て。……それに、さ」 少しだけ千早が言い淀むが、気を取り直したように口を開くのが気配で分かる。 「……あ、新に……見られるの、初めてじゃ……ないし……」 完全に逃げ道を塞がれたような気分で、新は大きく息を吐き出し、自分の手でTシャツを脱ぎ捨てた。意を決して身体ごと振り向くと、一糸纏わぬ姿の千早が立っている。肌の上を水滴が滑らかに滑り落ちているのが見え、彼女の肌の手触りを思い出してしまった新は喉仏を大きく上下させた。 「千早、あんまそういう事言うなや。……風呂入るだけで済まされんようなってまうやろ」 さっきまで湯に浸かっていた千早の頬はほんのり赤く染まっていて、否応なしに別の状況を連想させられる。新自身、自分が言っている事と行動がバラバラになり始め、いつの間にか伸ばした片手で千早の細い腕を捕まえていた。 「……て言うか、無理や」 己の自制心の脆さに呆れるように短く言い捨てて、掴んだ腕ごと千早を引き寄せて唇を奪う。 「……んっ……」 狭い浴室にくぐもった声が響く。まだ履いたままのジーンズが濡れる事も厭わず、新は千早の背中に腕を回し、背骨の作る細い筋を指先で撫で上げた。 「っふ、あ……っん……」 千早の身体がうねり、悩ましげな声がキスの合間に漏れ始めた。 服を脱がさなくていいのは楽かも知れないが、タイルの床に立ったままというのはどうにも危なっかしい。新はキスを解かず、片手でジーンズのボタンを外し、爪先で手繰るように脱ぎ捨てて自分も裸になると、脱いだ服を足先で風呂場の隅に押しやった。 「……千早、床滑ると危ないで……」 そう告げて千早の身体を反転させると、浴槽の縁に両手を捕まらせる。恥ずかしがった千早はそのまま膝を折り、しゃがみこんだ。 「膝、付いた方が楽やと思うざ?」 背中に覆い被さるようにして、耳元に唇を寄せて言うと、千早の身体がまたびくんと跳ねる。少し悪戯心を起こした新は、耳元に寄せていた唇を首筋から背中へと這わせていった。 「……あんっ、んん……っ」 空いた片手は千早の胸に伸び、ピンク色の先端を指先で摘んだり、手のひらでその弾力を楽しむように揉んでみたりと心のままに動かす。その度に千早の唇からは艶めかしい喘ぎが漏れ、背中が弓のように撓る。 「あ……らた……ぁ……」 浴槽の縁に手を掛けて、床に膝を付けた千早が首だけ振り返って新を見る。目元が朱を刷き、涙がうっすら滲んでいる姿は新をさらに駆り立てる。 「千早……なんか、そうやってると……いつもより色っぽいな」 言いながら胸から手を離し、背骨から尾てい骨を辿ってとうに濡れているそこを指先で探り当てると、そっと指先を潜り込ませた。 「やっ、……あ、ンっ……! っあ、新ぁ……っ」 千早はしきりに首を左右に振って快感を堪えようとしているが、新の指がそれを許さない。潜り込ませた指をもう少し深くまで送り、指先をくっと曲げてみた。 「ああっ、な、に……これぇっ、やだ、新、私……どうかなっちゃうよ……っ!」 「……いいんやよ。どうかなっても……」 耳元で言うと千早の中がきゅうっと締まり、新の指をきつく抱え込む。締め付けられる感触をもっと味わいたいという強い欲が新の中に起こり、緩んだ時を見計らって指を引き抜くと、両手で腰を掴み、すぐさま昂ぶった分身で一気に貫いた。 「っふ、あぁぁっ!」 これまで聞いた事がない程感極まった声が千早の喉から零れ、浴室を満たす。新が腰を送るたびに、千早の身体はそれに合わせてうねり、また撓り、脇から見える乳房がその弾力を誇示するように揺れていた。 「ん、っ……あんっ、……やぁ、あ、あ……」 千早の唇からリズミカルな喘ぎが漏れる。 「千早……気持ち、いい……?」 好奇心も手伝って、腰を送りながら聞いてみる。 「んっ、うん……い、い……。すごく、いいの……新ぁ……っ!」 千早の答えに力を得て、さっき指先を曲げた時に反応が良かったあたりを狙うように、新は腰を送る角度を変えた。 「……あっ、やっ、そこダメぇっ!」 指と同じように、いやもっと強く千早は新のものをぎちぎちと締め付けて離さない。 「すご……っ、千早、凄い……締まる……っ」 「やあ、んっ……言、わないで……っ、あんっ、っ、私……もう、もう……ッ!」 浴槽の縁を指先が白くなるほど強く握り、千早は限界が近い事を訴えてくる。言われなくとも新自身、背後からの眺めと千早のきつい締め付けで限界はいつでも超えてしまえそうだったが。 「……いきそう、なんか? ……いいざ」 「でもっ……、一緒が、いい……、お、願い……っ! ……も、我慢、できないよ……っ!」 もはや千早の声は泣き声に近い。熱く滾る中は柔らかくうねり、新を一番奥へ引き込もうとしていた。 「分かっ、てる……! おれも、もう……っ、千早、千早……っ!」 「……お願い、新ぁっ、……だ、ダメっ、いっちゃう! ……んっ……! ああああっ!」 「っ、千早っ……!」 すんでの所で新は分身を引き抜き、浴室の床や千早の背中に迸ったものをまき散らして果てた。 風呂場自体の気温が上がっている事もあって、ひどく息苦しい。新は浴室の窓を少し開けて外の空気を入れた。 「……す、ずしい……」 まだ身体に力が入らないのか千早は浴槽の側にぺたりと腰を落としてしまっている。 「あ……背中、おれ洗うわ……」 新は混合栓をシャワーに切り替えてぬるめの湯を出し、千早の背中を綺麗に洗い流し、床の上も始末する。こんな場所でコトに及ぼうとは思ってもいなかったため、何の用意もなかった。 「千早、身体痛かったりせんか? ……我慢できんくて、ごめん……」 「……ううん、ちょっとだけ恥ずかしかったけど……でもいいよ。新だから」 そんな風に言われ、新の顔が真っ赤になる。 「あ、汗かいたんでないんか? ……もっぺん、身体洗うか? ……こっち来ね」 浴室用の椅子を引っ張ってきて、千早をそこに座らせると、新はタオルにボディソープを付けて泡立て、千早の背中を丁寧に洗い始めた。 「……ふふ、なんか偉くなったみたい」 背中を向けたまま千早がクスクス笑う。 「まあ偉いんでないんか? ……おれんたな(俺みたいな)のに付き合えるんやし。昔よう言われたわ。あいつはかるたにしか興味ない、むっちゃつまらん男や、とかって」 それを口にしたのは幼馴染みだが、当時の自分には何故学校でだけそう言われるのか全く理解できなかった事をふと思い出す。 「えー? かるたに興味っていいじゃん。……それ私も昔言われたけど。千早ちゃんって変わってるー、とかさ。太一だって高校の時にさ、かるたをしてる私を知らない男と付き合うなんて絶対無理とか言ったんだよ?」 「……ふうん、太一がの……」 お互いに、自分の事を良く知っている筈の相手から似たような事を言われていたらしい。 「でもさ、結局太一が言ったの、当たったって事だよね。……新と付き合ってるんだし」 「まあ、確かにの。……前は自分でやんね」 新は千早の腿にタオルをぽんと置き、自分の身体についた泡をシャワーでざっと流した。 「先出るけど、もう風呂ん中で寝たらあかんざ?」 さっき脱いで浴室の端に置いたままだった濡れた服を軽く絞って、新は浴室を後にした。 |