Take Me
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下ネタに真っ赤になってしまう新を面白がってバイト先の店長が避妊具を押しつけてきた時は、仕事中だから突き返せもしなかったそれを使う時なんてないだろうと考えていたのをふと思い出す。包みの端を破って中身を取り出す指先がひどく不器用になった気がした。 (……緊張する。心臓バクバクいってる。ほやけど千早の全部が欲しいのは、おれの本心や) 何とか装着を終えて千早に視線を戻す。さっきの格好が相当恥ずかしかったのだろう。立てた膝をぴったりと閉じて横向きに寝そべっていた。多分、閉じた脛で新の視線を遮りたかったのだろうが、あまり効果はなかった。 (なんか、えらい可愛らしい事するんやな。意外とか言ったら失礼なんやろけど……) それでも、千早のそうした恥じらいも魅力の一つだ、と新の表情が緩む。驚かさないように、片腕と膝で自分の体重を支え、もう一方の手で千早の肩をそっと押して仰向けにさせた。 「……千早」 名を呼ぶと千早は素直に新の目を見てくれた。目線だけで、いいのかと問うと、千早もまた瞬きで答えを返す。脚の間に膝を差し込んで隙間を作ると、今度は千早も新がそこに身体を置きやすいように軽く膝を立ててくれた。新はそっと指先で千早を開く。 「ここ……で、合うてる……?」 「……う、うん」 頬を紅く染めて千早が頷く。指に添わせるように、新は自身をあてがった。そんな浅い接触でさえ、硬く張り詰めて解放を待ちわびる自分の身体に軽い驚きを覚えながら上体を倒し、片腕を千早の脇に差し込んで安定を取る。もう一方の手を千早の手の平に合わせると、すぐに千早は新の手を命綱のように握ってきた。 「……行くざ」 一言呟いて新は腰を進めて千早を押し広げ始める。 「っつ……ッ、う……あ……、あ、らた……!」 きゅっと顰めた眉を見れば、千早がどれだけ必死に痛みを堪えてくれているのか分かる。絶対に焦ってはいけないと新は唇を噛み締めて、徐々に狭い中を進んでいった。 (……優しく……) 新の頭の中は、たった一つの単語で埋め尽くされていた。それ以上の事を考えようとしても、まともな文章にならない。中程辺りまで入り込んだ千早の内側は熱く柔らかく、それでいてしっかりと新を包み込んでいて、優しく、優しくと呪文のように繰り返していなければ、つい一気に腰を進めたくなってしまう。 「あ……あ、あっ、───ッ!」 多分実際の時間は大して進んでいないのだろうが、新にとっては何時間もかかったような感覚の中、とうとう全てが千早の中に収まる。自分を受け入れた千早の両目が大きく開かれ、涙が長い睫毛を濡らしていた。 「……くっ、……う……!」 千早の脇に差し込んでいた腕に力を込め、新は必死に自分の中の水圧を堪える。 「まだ……痛む、か……?」 気を逸らしたくて、千早をきつく抱いたまま新は問うた。 「……っ、ううん、そんなには……。新、は……大丈夫、なの? ……なんか、辛そう」 千早の目には、そう映っていたらしい。 「や……その、が、我慢せんと……保ちそうに、ないんや……。情けない話で、ごめんな」 頬を合わせたままの千早が、謝らないで、と小声で言ってきた。顔を上げると、照れたような視線が交わった。 「動いても……いい?」 「……うん」 「痛かったら、言うての? 絶対」 千早は小さく頷く。 「……!」 ぎこちなく動き出した新の背筋を強烈な感覚が這い上った。ほんの少し腰を引き、元に戻すというだけの動作なのに、息が乱れ、汗が噴き出す。音がするほど奥歯を噛んで必死に堪えてはいるものの、思うまま千早に全てを叩き付けたいという欲求は去ってくれない。 「……ん、っ……」 千早が小さく呻く。その声音はまだ苦しそうに聞こえ、新は何度か頭を振って再び「優しく」という言葉を心の中で必死に反芻し、細い首筋に唇を押し当てながら、また腰を引いて半ば辺りまで引き抜いた自身をゆっくりと千早に埋めていった。 「あ……、っ、新……」 必死に堪えて、堪えて堪えて何度か千早の中を行き来させた頃、千早の唇から紡がれる吐息に艶めかしさが混じり始める。 (千早が、感じ始めてくれてるんや……。嬉しい。ほんとに、嬉しい……) 新は腰の動きを徐々に大きくしていく。それに合わせるように、千早の腰も少しずつ揺れ始めていた。 大きく動いた時、千早の中がきゅうっと新を締め付けてきた。 「……千、早……っ」 散々我慢を強いてきて目蓋の裏に閃光が走る。繋いだ手に力を込めてもう少しだけ、その我慢を続けようと思うのに、限界まで昂ぶったそこが、新の気持ちを裏切りそうだった。 「っあ、あ……、熱いよ、私……。新が、熱くて……。恥ずかしい、のに、自分、が……止められ、ない……っ!」 泣いているようにも甘えているようにも聞こえる、そんな声に鼓膜を震わされてしまっては、もう新も自分を抑えられない。 「千早……! おれ、もう……っ! ち、はや……、なって、全部……、おれのもんに、なって……!」 ついに新は思いの丈を全て、千早の身体に刻みたいと全速で動き出した。 「あっ、あ、あ……! 新っ、新ぁっ!」 千早の片腕が背中にきつく回され、それがついに新の堰を切った。 「……ッ、もう、だめや……っ! 千早、千早……っく、───い、く……っ!」 ぶるっと腰が大きく震え、千早の中で跳ねる新の先端から全てが一気に迸る。繋がったそこから自分が全て溶けてなくなりそうな感覚の中、それでも腕の中の千早が自分の背中を抱きかかえている感触だけは、はっきり残っていた。 全てを吐き出し終えた新は、千早の上に覆い被さったまま荒い呼吸を繰り返す。快感の波自体はすぐにレベルダウンしたが、かるたの試合以上に疲れ果てた身体をなかなか起こせなかった。 「あ、の……新……? だい、じょうぶ……?」 千早にしても、こんなに疲れている新を目にするのは初めてで、心配になって呼び掛けた。 「……ん、……あ、ごめん。重かったやろ……」 のろのろとした口調で答え、転がるように千早の上から身体をどかせた。そのまま畳の上に仰向けになって呼吸を整えていき、ようやく起き上がるだけの気力と体力が戻った新は、ゆっくり起き上がって後始末をする。 拭き取ったティッシュペーパーに赤いものが付いているのを見て、新はやはり軽い罪悪感を覚えてしまう。 「話でしか知らんかったけど……女の子は初めてん時、血出るんやったな。千早、ほんとに身体、大丈夫なんか?」 「うん……。新こそ、すごく疲れたみたいだけど……ほんとに平気なの?」 千早の問い返しに新は頷く。 「……て言うか、ごめんな。……その、おれだけ……とかって」 言われた意味が分からなかったのか、千早の大きな目はきょとんとして新の顔に向いたままだ。 「んっと……ほやでさ、千早の事……、ちゃんと、いかせてあげられんかった、な……って」 千早の全てが欲しかっただけに、中途半端にしか押し上げられなかった事が残念で、男として力不足だと思ってしまう。 「そんなの、ごめんとか言う事ないよ。……奪って、って私の言葉に、新は応えてくれた。……それに、そういうの……また次のチャンス……ある、から……」 言いながら千早は擦り寄るように新の腕の中に潜り込んできた。 「……新が東京の大学に来るの、待ってる。……だってもう、私は新だけの私だし、新は私だけの大事な人だから」 顔を新の胸に押しつけて、千早が恥じらいながら告げる。その背中を優しく抱いて、自分も同じだと静かに返した。 |