ずっと笑っていて 6
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尖端に舌先で触れながら、できるだけ優しくもう片方の乳房を手で包む。別々の動作は難しかったが、ぎこちなく続ける事は出来た。 「あ……んっ……」 千早の手が新の首を抱こうと持ち上がった。その時新は初めて気付く。 (……腕にも……脚にも、内出血、残って……) どれほど千早が必死に抵抗を試みたのか、逃げだそうとしたのか、その青い跡で分かる。 (千早自身のため、は当たり前やけど……家の人とか、友達とかのため……) そして、さっき千早が泣きながら言っていた「初めてを貰ってもらえない」。 (……おれの、ため……) だから全力で抗ったのだ。 新は一度胸への愛撫を止め、膝立ちになって腕に残るその青に、まるで蛇の毒を吸い取るように唇を当てた。 (そこが内出血してるんやったら、おれがキスしたせいで跡残ったんや、って千早には文句言ってきて欲しい……ほやから、強引かも知らんけど、赤こなるまで、キス、するでの? 千早) 「……新……ちょっと、痛いよ……」 「キスマーク付けたいでや。おれのやぞーって」 別にいいがし、とまた別の内出血に強く吸い付く。キスマークとか恥ずかしい、という文句は胸の尖端を指先で転がして封じ込める。腕にあった青あざは多分これで全部、新のキスマークで「上書き」できただろう。 腕への強いキスで跪いたのをいい事に、今度は腿に残る同じような痣に新は吸い付いた。 「……んっ!」 さっきと千早の反応が違う。もう一度同じ場所を唇で吸い上げる。 「やぁ……、新……そこ、っあ、だめぇ……変に、なりそう……」 拒絶かと思ったが、千早の普段より舌足らずな声が紡ぐのは、違う意味だと新は気が付いた。 (……ここ、千早の性感帯なんや……いいんや、千早。没頭していい。……おれだけ、見てればいい) 「なっていい。千早が感じるんなら、おれ、いっぱいする」 痣を消す強いキスを長く、一度だけ落として、後は小さく啄むようなキスをあちこちに与え、丁寧に舌を這わせる。 「あっ、あぁ……、んっ、あらた……新……」 細い腰が小さく揺れ始め、新はもう一方の腿も同じように啄んだ。 「……っあ、ああっ、立って……られ、ない……」 「壁、凭れてね? もう冷とないはずやけど、まあ念のため」 新は浴槽の中に突っ込んでおいたシャワーノズルの勢いを少し緩めて壁に当てた。素直に壁に背中を預けた千早に、ちょっとごめんと断ってドアを開け、そこに散らばっている服から財布を抜き出し、更にその中から小さなパッケージを取り出すと浴槽の隅に置いておいた。 「ごめんな、変な中断して。続き、させて?」 「……え、続きって……あの」 「うん、ここ」 新はまた床に膝をついて腿に優しいキスを落とした。 「……あぁんっ……やっ、またぁ……おかしく、なる……」 「構わんよ。それも、おれしか知らん事やし」 舌を這わせる合間に視線をあげて新は告げる。 「新しか……しらないこと……。新にしか、おしえない、こと……」 「ほや。おれだけが知ってる、……誰も一生、知らん千早」 だからおかしくなっていい、それを耳にした千早の身体から余計な力が抜けるのが分かり、千早が弱い場所へのキスを少しずつ上へとずらしていった。 「……っ?!」 新の唇が千早のそこに触れた時、全身がびくりと震えた。 「言えばいい」 短い応えが耳に届く。千早は自分の心の中を見つめてみる。 (私……怖い? 新のこと……。違う、怖いのは新じゃない。怖いのは……) 新は「上書き」と言ってくれたが、その心の中はどうなのだろう。これ以上ない手酷い形で奪われたにせよ、既に処女でなくなっている事に落胆を感じたりしないのだろうか。 「わ……私、もう……し、しょ……」 「千早が、受け入れようって気持ちでこうしてくれてるのは、初めてなんやろ?」 続きするざ、と呟いた新が優しいキスをまたそこにくれた。 |