ずっと笑っていて 7
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「……ちょっとだけ、脚……開かせるけど、いい?」 少し掠れた新の声が耳を打つ。 「うん……」 「おれの肩に、乗せとくでさ」 新の手が千早の膝裏を優しく持ち上げて肩に乗せた。 (……あいつらとは、全然……違う……。新はまるで、私がガラスで出来てるみたいに……扱ってくれて……気持ちが、溢れそう……) 「新……私、新のことが……どうしようもなく、好き。大好き……。だから……」 口を挟まず、新は千早が続きを言おうとするのを、ただ待った。 「……新の、全部が……欲しい」 「千早。……ありがとう」 泣き出しそうな声で返し、新は本格的にそこへ舌を這わせ始める。 「んっ……! あ……あぁ……っ、あらた……!」 腿にキスをした時のような、頭の芯がくらりと揺れそうな声が降ってきた。 男としては、昂ぶった熱を早く埋めたい。けれど「千早を一番大切に思う新」としての部分がその欲求を心の奥底に封じていた。 「……千早……」 「やぁ、ダメぇ……そんなとこで、名前、呼ばないで……、っあん!」 何とも可愛らしい抗議が起きる。 「残念やなあ」 そう答えても千早の腰が跳ねるのが分かる。 (……ほんでいいんや、千早……) 恥じらいながら開いてくれた脚の間にある、連中に手酷く踏みにじられた千早。さぞかし痛かっただろう。動物がその傷を癒すように新は何度も舌で行き来した。 「……っ、あ……ぅ、……新、すき……」 (今こんな事思うの、不謹慎やろうけど……嬉しい。好きって言われて、下手やのに……感じて、濡れて……) 涙で目の前が滲みそうで、新は千早のそこにある小さな粒を舐めあげる。 「っふ?! や、今、の何……?!」 艶めかしいのに戸惑った千早の声に、もう一度同じ場所に舌を触れさせた。 「あ、あっ! 新、あらたぁっ! なんか、変だよ……! 私……っ、んっ! あ、新っ!」 「……辛い?」 短い問い掛けに千早は必死にかぶりを振る。 「そうじゃ、ない……っふ、あぁんっ! から、だ……奥が、熱くって……っ! 全部、ぜんぶ! 弾け飛ぶ……!」 「弾けて、いいんやざ……千早。おれの、下手な愛し方で……千早が、いくって事やから……」 千早の腰がひくんと揺れている。新はそこへの愛撫をもう一度続け、舌で舐めあげていた核に、ちゅ、と吸い付いた。 「そ……れ、ダメえっ! あらた、新、あらたぁ……っ!」 バスルームの床に付いている爪先に力が入っていた。肩に乗せていた方の脚がぴんと突っ張っていたから見る必要もないが。口で吸ったまま、そこを舌先で軽く転がす。 「あ、っあ! だめ、もうダメ! 新、弾け、る……っ! あ、あぁぁっ! ……新ぁっ!!」 魚のように身体を跳ねさせ、千早はついに達した。 「あ……ぁ……はぁっ……」 くたりと崩れてきた千早を慌てて受け止めた新は浴室の床にじかに座り込み、手探りでシャワーホースを浴槽の中に突っ込んでから、千早の身体を横抱きにして髪を撫でたり手の平に小さなキスをしたりする。 (千早は、さっきので……いってくれたけど……。どうなんやろ。おれと……ひとつになるのは、辛くないんやろうか。気持ちのあるなしはともかく、千早に入れて動いて出す、っていうのは同じ事やし……。おれが、思い出させてまわんか……? おれは、それが一番怖い……) 「……ん……」 小さく身じろぐ声が耳に届いた。 「千早、大丈夫、か……?」 他にどう聞いていいか分からない。 「あらた……わたし、変じゃ、なかった……?」 舌足らずな声が問うてくる。 「……全然? おれの愛し方なんて、きっと下手やろうに。応えてくれて……おれ、泣きそうやわ」 「よかった……。あの、新……。さっきちょっと言ったけど。……浄めてくれて、本当に……ありがとう」 だから新を刻みつけてほしい、と蚊の鳴くような声で千早が言った。 「……おれもそうしたいのは百パーセント本音や。ほやけど気に掛かる事が一つあるんや……」 新は千早が目を覚ます前に考えていた事を言葉にした。 「確かに、おれの気持ちは千早の側に……千早の中にある。ただ、おれにしたかって身体の使い方は一緒なんや。……それが、怖い」 「私が、思い出すかも知れないから? 私の考えは、ちょっとだけ……違うの。思い出すかも知れないけど、それさえも……新のイメージに塗り替えたい。その先に思い出す事があったとしても、新を思い出したい、そんな風に思う」 そんな健気できっぱりした声を聞かされて、新の両腕が動かない訳がない。横抱きにしていた身体を膝で起こし、背中を強く抱いた。 「……ベッドの方が、いい?」 「う、ん……」 床から立ち上がった所で新は一度千早に向き直る。すっかり昂ぶっているそこさえ隠さずに、真正面に立った。 「千早。これが、おれや。千早が欲しいって、勃ってまった時の、おれや。見るの、まだ怖いか知らん。ほやけど思い出すんやったら、今のこのおれを思い出して。……それと、これ」 さっき財布から取り出した、薄いパッケージを千早に見せる。 「……バイト先の店長が人からかうのに入れてたけど、コンドーム。絶対使うで、そこは安心して」 後はおれの努力次第やけど、と新は少し困ったように笑う。 「努力……?」 千早が不思議そうに尋ねてきた。 「……おれ多分、早い。千早の可愛らしい声聞いて、頭どうにかなりそうやったし」 「うん。新だって恥ずかしかった筈なのに。ありがとう……」 シャワーを止めて、備え付けてあるバスタオルでざっと身体を拭く。 「……こうやって連れてこ」 言うが早いか、千早を横抱きにしてベッドへと運んだ。 |