ずっと笑っていて 1
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部活を終えて千早は堤防を歩く。密度の濃いかるたでいつもより少し手足が重い気はするが、気分は爽快だった。 「この調子で大会まで……っ、痛っ?!」 草むらの上に突然身体が仰向けに倒されていると気付く。 「……えっ?!」 見た事のない男が二、三人。誰、と考える暇さえ与えられず、千早の両手が押さえ込まれた。 「離して! 痛い、離して!」 叫ぶ千早を無視して制服のブラウスが左右に引き剥がされる。その下に付けていたブラも引っ張り上げられた。 「いやあ!」 何とか逃れようと千早がどうにか動かせる両脚をばたつかせようと藻掻く。が、逆にその脚を捕まえられて引きちぎる勢いで下着を引き下ろされてしまう。 「いや、いやあ! お願い助けて、誰か、助けてえ!」 誰も来ねえよ、という男の下卑た呟きがいくつかの顔を浮かび上がらせる。 お父さん、お母さん、お姉ちゃん。 男の手が胸に伸びた。 不快な舌が触れた。 「やだ、やめて! 触らないで! いやあっ!」 必死に藻掻こうと身を捩った千早の頬が手加減なしに往復して張られる。 くらくらする頭に、大人しくしろと声が飛ぶ。 胸が左右とも指が食い込みそうなほど、きつく握られた。 「……痛っ……! やめ、て……! やめてえっ!」 叫ぶ千早の頬がまた遠慮なしに張り倒される。 みちるちゃん。 男が腿を痛くなるほど掴んで、大きく割った両脚の間に身体を置いてきた。 誘ってる格好してる方が、悪いんだぜ。 身勝手な言葉が叫ぶ千早の鼓膜に届く。 瑞沢の、みんな。 やるなら早くしろよ、と一人が言っている。 だったら、口使わせりゃいいじゃねえかよ、と答える声がある。 千早の口元に、生暖かいものが押しつけられて口を開けろと言ってきた。 「んんーっ!」 必死に口を閉ざす千早の胸がまたきつく掴まれて呻きが漏れる。 太一。 「歯、立てんじゃねえぞ。立てたらぶっ殺す」 無理矢理ねじ込んできた男に頭を鷲掴みにされて大きく揺さぶられる。 「……ちゃんと飲み込めよ……っ!」 生臭いどろりとしたそれを反射的に吐き出そうとした千早の頬がまたひどく張られた。 ────新。 両脚の間に身体を置いていた男が、さっきの男と同じような生暖かいものを 千早がまだ誰にも許していないそこに押し当てられた。 必死で脚を閉じようとすると今度は二人掛かりで開かされ、 千早の唇から、今一番救いにきて欲しいひとの名が悲鳴となってあたりに響く。 「新、新っ! 助けて! お願い、助けて! いや、それだけは嫌! いやああああっ!!」 引き裂かれる痛みが、千早の目の前から新の姿をかき消し、瞳から光を失わせた。 貫かれた衝撃は、千早から抗う力を奪い去ってしまった。 「おい、早くしろよ。俺さっきから手しか使わせてねえんだぞ」 「いいじゃねえかよ。マジたまんねえ」 「じゃ次、俺な。……うお、マジだ。すっげえ」 「やっぱ駅で張ってて正解だったよな。俺、顔射してえな。コイツ顔もイケてるし」 代わる代わる遠慮なしに放たれた男の──男達の体液が身体のあちこちにべったり付いている。 奪われたばかりのそこから、どろりと流れ出るそれを拭う力さえ。 無理矢理に広げられた両脚を閉じるだけの判断力も取り戻せない。 「記念写真、ってか?」 「半分な。あと保険?」 よく聞けよ。警察に話してみろ。お前が股おっ広げてるこの画像。ネットに出回るからな。私は外で犯されるプレイが大好きなんです、とかって。 音として拾っているそれを理解できるだけの考える力も。 自分の身に起きた事に涙を流せるだけの心も。 何もかも奪い去られた千早に、たった一つ残ったもの。 ───穢された私は、もう、新に、会えない。 新だって、こんな、穢れた私なんか─── 残されてしまったのは、それだけだった。 |