保湿系トライアルセット

POSSLQ 

R18版



 袴を着けての一試合、その後この部屋で初めて調理しての夕食、入浴を済ませて明日からの事を話す。
「起きる時間を千早の出勤に合わせるんなら、学校まで何分かかるか分からんとあかんな。……て言うか赴任先どこ? 流石にもう分かってるんやろ?」
 新が尋ねると、千早は意味ありげに笑いながらVサインを見せる。
「……え、まさか?」
「そのまさか。県立藤岡東高等学校ー!」
 どうりで今日まで何も言ってこなかった訳だ。けれどその報せは嬉しい。思わず腕を伸ばして千早の両手を掴む。

 立ち上げ当時の顧問だった体育教師の菅野がまだ顧問なら話は早いのではと新は思う。
「菅野先生A級やから、名人とかクイーンなる大変さ、よう知ってる。すぐ顧問替われんくても、かるた部に何かしら関わらせてくれるんでないかな。おれも時間作って顔出してくわ」
 新が掴んできた両手に千早が少し力を込めて握りかえしてきた。
「前に言ってくれたよね。おれが作った部が弱くなるの嫌だから頼む、って。……顧問になってもならなくても、頑張るよ」
「期待してる。応えるって約束出来るんなら、おれにキスして?」
 頷きもせず両手も繋いだまま、千早の唇が新の唇に重なった。

 やはりこの部屋での生活初日という事もあるのか、二人とも燃え上がるのが早い。新は繋いでいた手を離して千早の頬を撫でる。
「あん……っ、あの、ね……」
 キスの合間に千早が小さな声で呼び掛けてきた。
「……何?」
「あの……えっと」
 言いづらいのか新の耳元で囁く。
「え……? えと、確実に……なんか?」
 そのままの姿勢で千早は頷いてくる。至近距離にある耳が真っ赤になっているのが見えた。
「前に言うた事、あったな。おれにも着けんとしたい欲求はあるんやって。……立てる?」
 一度手を離して寝室に使う和室の襖を開けてから、千早の側に戻る。赤くなってもじもじしているその身体を横抱きにして隣の部屋へ連れて行き、初めて使うダブルベッドの上にそっと下ろす。
「千早。大丈夫な日やったとしても、不安やったらちゃんと言うての? ゴム着けるでさ」
「……うん……」
 短く礼を言い、自分より一回りほっそりした身体の上に覆い被さって唇を求めた。

 「は……ぁっ、千早……」
 貪るように口付ける合間に新は何度も名を呼ぶ。
「あ……。んぅ……っ、あ……」
 新の呼ぶ声に応えたいと思うのに、名前を口にする前に舌を絡められてその三音を言い切れない。それが伝わったのかは分からないが、キスが不意に耳に落とされた。
「ふ、あっ! んっ、新……!」
 その肩に縋ってようやくその名を呼びきれるが、何度も敏感な耳を啄まれてまた言葉に出来なくなる。
「……脱がすでの?」
「ん……っ!」
 耳元で告げ、新は千早の服を脱がせ、自分も裸になってまた千早を組み敷き首筋を舌で這い降りた。

 首筋からデコルテへキスの雨を降らせながら、片手を下げて滑らかな腿を撫で上げる。
「あ、あぁ……新、あらた……!」
 背中を反らせる千早の胸に唇を這わせ、その甘い声をもっと聞かせて欲しいと探り当てた乳首を吸い上げた。
「っ! あんっ、やぁ……そこ、だめ……」
「……またダメって言うんや?」
 問いながら再び吸い上げる。
「違、……んっ! 意識、してな……っ、あ、あぁん!」
 新の舌で不規則に転がされて、自分の甘ったるい声が返そうとする言葉を途切れさせた。
「分かってる。言うても言わんでも、千早は千早や」
 胸元から一度顔を離し、千早の片手を取って小さくキスを落とした。

 新はまた柔らかく盛り上がった胸に顔を埋め千早の可愛らしい反応を引き出していく。身体の位置をぐっと下げ、手で撫でていた腿に舌を這わせると細い腰が持ち上がる。
「あぁっ……新ぁ……っ! お願い……私、にも……」
 させて、と掠れた声が降ってきた。
「うん」
 新が肘で這って千早に寄り添い、高い鼻のてっぺんに口付ける。それを合図に千早が抱きついて体を入れ替える。
「……新……」
 柔らかな唇が近付いてくる。逆らわずに新は受け止めた。

 千早の唇が触れてくる場所は少しずつ変わっていく。首筋を伝い、胸元をくすぐって今は腰のあたりを啄んでいた。そのキスの合間に肌を撫でる吐息の熱さも新を昂ぶらせる。
「っ……」
 キスの位置を変えてくる速さは普段と変わらない筈なのに、今日は妙に焦らされているように感じて新の口から震える息が零れた。
「ん……新……」
「……!」
 名を呼ばれただけで呼吸が乱れ、先端から露が溢れる。
(一緒に暮らす、初日やから……なんか? 気持ちが昂ぶって、ほんで抑えきかんのか……?)
 千早に口で含まれたなら、すぐ放ってしまいそうな程に内圧を堪えられる気がしなかった。

 「……ごめん、千早……、おれ今日……変や……。触られてもえんのに、いきそうな感じ、してる……」
 正直に、考えていた事も含めてそう告げた途端、いきなり千早の息が乱れた。
「あ、新……私も、おかしいの……! さっきから、どうしてだか、分からないのに……っ、いく時みたいに、中が……震えてるの!」
 いつもなら、攻めに転じている時は感覚を少しは落ち着かせられるのに、今日は新にキスを落としていく間も必死に声を抑えていた。そして今、新の口から限界が近いと聞かされて、いきなり内側がきゅっと引き絞られていくのを感じ取った。
「う、そ……?! ダメっ、……新、あらた! ほんとに……いっちゃう!」
 身体の上に覆い被さっていた千早が肩をきつく掴んでくる。その背中をしっかり抱いて、そのまま新は千早ごと俯せになった。

 抱き合った二人の身体で挟まれた新のそこが一気に頂点を目指し、身じろぐ千早の熱い肌が箍を外しにかかる。
「っく……、っあ! 千早……! おれもや、もう……保たん、いきそうや!」
 新の熱い息が千早にも限界を超えさせた。
「あ、あ、あ……あぁぁっ! 新、新もうダメぇっ! いく、いっちゃう! んっ、ふ、ああ! い……くぅ……っ!!」
 千早の身体が震え、それが新にとどめをもたらす。
「ちはや……っ、おれも……、いく……っ!! っ、っく……、あ……」
 狭い隙間に熱が迸った。

 「あ……」
 ようやく千早の息が整って、一応話ができる状態にはなった。
「さっき……ここで一緒に暮らす初日で、って言ったの覚えてるか?」
 新に腕枕をされたまま、千早は頷く。
「その事で興奮してたのは、実際そうなんやけど……気持ち高まっただけで、いけるとは思ってえんかった」
 特に自分は男だから、触れられるなり入れるなりで刺激がないと無理だろうと思っていた。
「……私も、同じ事考えてた。だから多分、新にしてる間も、身体が感じてたのが引かなくて。新が限界近いって聞いたら、もうどうにも出来なくなった……」
 でも、と千早は言葉を継いでくる。
「なんかちょっと、嬉しかった。今日は特別な日なんだよ、一緒に生きてく最初の日なんだよ、って同じ事言ってくれたから」
 新は少し千早の肩をきつく抱き直し、千早はその腕の中で笑みを浮かべて新の顔を見上げている。自分達が今また、同じ事を思っているのがお互い何となく分かり、姿勢を変えた新は真上から千早に視線を合わせた。

 「続き、しよ?」
 同じ事を求めていても、やはり男から言いたい、と新が先んじて口を開く。
「うん」
 千早は逆に、先に告げるのに男も女もないと思うと言葉を返しながら頷いた。
「……そこだけは正反対なんやな」
「かるただって、そうだよ? 私攻めがるた一本だもん」
 千早は笑う。
「同じやけど違ってて。違ってても根っこの部分は同じなんやな。……って、うわ」
 千早の手が新の首を軽く引き寄せ、まだ何か言いかけようとした新を唇で止める。応じた新はもっと深く口付けた。



POSSLQ = Person of the Opposite Sex Sharing Live Quaters


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written by Hiiro Makishima