POSSLQ
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「……ここで服脱ぐで、風呂場でするのって横着できるな」 「横着、って。何か、あんまりじゃない? それ……」 まるで普段は相当面倒に思っているように聞こえて千早はじろりと新の顔を見た。 「面倒とは思わんけど、もどかしいって思うのはある」 新は背後から腕を伸ばして千早の乳房をそっと持ち上げる。 「……すぐ触れるし」 「んっ……」 小さくこぼれ落ちる声に気を良くして浴室のドアを開く。室内はまだ少し暖かみが残っているが、新は先に中へ入ってシャワーの湯を出した。 「こっち、おいで」 扉を閉めながらそろそろと中へ入ってきた千早を今度は向かい合って抱き締め、紅い唇を柔らかく塞ぐ。 「……っは……っ、ん……」 二人分の吐息が狭い浴室に谺した。 キスを続けたまま、新は片手を下ろして千早の胸をそっと包み、持ち上げるように揉みながら指の股で挟んだ乳首を一緒に愛撫する。 「っん……!」 トーンが高くなった千早の声が口の中に飛び込んできて、手の平をずらして今度はいつものように指先で転がした。 「ふ……っ、んぅっ!」 唇を離してその顔に視線をやると、大きな瞳はすでに潤み、半開きの唇から乱れた息を紡いでいる。窮屈な体勢のまま新は顔を押し下げて、つんと芯を持って尖りだしたそこに舌を這わせる。 「っあ、あぁ……っ、そ、れ……、感じ、る……」 隠す必要はないと告げたからなのか、今までは新を欲しがって我慢が利かなくなってから、堰を切ったように告げてくる一言が素直に千早の口をついて、それが嬉しくて新は自己主張をしている乳首を、舌を当てる角度を変えながら何度も舐め上げた。 「あんっ! 新、凄……っ、あ、あっ! ……お、ねがい……」 「なに?」 新の髪をくしゃりと掴んだ千早が、荒い息をつきながら言葉を紡ぐ。 「……もっと、いろんな、事……、いっぱい、されたい……」 頬を赤く染めて告げてきたそれに、新はすぐさま応じて残る片方の胸に吸い付き、さっきまで舌を這わせていた方の乳首を指先で引っ掻くように触れた。 「あっ、あぅ……んっ! あん……あぁんっ!」 新の肩に手を置いて身体を支える千早の細い腰が、しゃくり上がるように揺れ始めた。新は一度胸元への愛撫を止めて背中を抱き直し、耳元に唇を寄せる。 「色んなこと、するざ? ……感じるかどうか、教えて」 そう囁くだけでも肩に触れている指先に力が入り、悩ましい声を上げる千早の腰は新のそこへ擦りつけるような動きを見せた。 敏感な耳に触れていた唇を首筋に這わせ、鎖骨の窪みや柔らかく盛り上がる乳房へ下ろしていき、新は浴室の床に膝をついてキスの位置をさらに下へ下へと変えていく。 「っ、あ、はぁ……んっ、あら、た……、焦らしちゃ、いやぁ……」 切なそうな表情が上げた視線の先にあった。それなら、と新は千早の脚の間に身体を潜らせて開かせると、跪いた格好のまま濡れたそこを舐めた。 「ん……、っふ……あぁっ! やぁ……恥ずか、しい、こんな……格好……っ」 そう言葉を寄越す間でさえ、千早の中から新しい蜜が溢れている。 「……恥ずかしい、って。……こんな濡らしてるのにか?」 とろとろと零しているそこへ新が指を入れようとした時、甲高い制止の声が鼓膜に届いた。 「どうか、した?」 「指……いやぁ……」 痛いからかと問うと、千早はかぶりを振る。 「い……入れて、くれる、なら……、新のが、いい……」 新が一度立ち上がって意味を尋ねると、千早自身どう説明していいのか分からないけれど、と前置きして口を開いた。 最初の挿入時にだけ感じる言葉にならない快感があり、それは指でも得られはするが、一体感とその感覚を同時に受けられるのは新が自分を押し開いて入ってくる時だけだ、と千早は言葉に困りながらも話してくれた。 「だから……お願い、最初の、一度だけでも……」 納得は出来たが、色んな事をと告げた分くらいは新もしてみたい。また耳元に口を寄せて低く囁く。 「最初だけでも、何が欲しいんや?」 吐息のように問いを重ねると、千早の身体は柔らかく撓るが言葉は出ない。そのまま耳朶を優しく噛んだ。 「んっ! ……聞かない、で……」 「……ちゃんと言うまで、何べんでも、聞く。……何が、欲しいんや?」 一言一言わざと区切って更に訊く。ひくひくと肩が跳ね、また腰が揺れるが新は容赦せず、三度問う。 「あ……、あらた、の……、───」 これまで一度も千早が口にしなかった、震える五音がついに唇から紡がれた。 「……あげる。……一杯」 浴室に持ってきておいたゴムを手繰り寄せて封を切り、素早く装着を終えると千早の身体を壁に向き合わせ、出しっぱなしだったシャワーを止めてそこに手で掴まっているように告げた。 「こ、う……?」 千早がシャワーノズルを両手で掴むと、ちょうど腰を突き出した格好になる。 「うん。……入れてくざ?」 蕩ける千早の入口に自身を押し当て、細い腰を掴んでわざとゆっくり挿入しはじめた。 「……っ! あぁ……あぁっ、あ、あぁ……っ!」 求めてきた通り、新が入り込んでいくにつれて千早の口から艶めかしい喘ぎが漏れ、挿入感をしっかり味わえるようになのか、動いていた腰は逆に止まる。 「千早……気持ちいい?」 「ん、うん……っ、いい……新、いい……!」 素直な言葉は電流のように背中を這い上がる。一気に奥まで突き入れたいという欲を新は敢えて抑え込んで、千早のこの反応をもっと楽しもうと、千早と自分の両方を焦らすようにスローな挿入を続けた。 「……っ、おれも、これ……、すごく、感じる……」 全てを挿入しきるまでに時間をかけているだけの事なのに、新の腰にも言い様のない感覚が走る。今までどうして言ってくれなかったのかと千早の恥じらいを少しだけ恨めしく思える程で、新はそんな自分に苦笑したくなる。 「あ、あ……ああっ……! 新……っ、あらた、新っ……!」 一番奥まで熱の全てを収めると、千早の手が新の手を探してくる。新は腰から手を離し、身体ごと覆い被さるようにして背中から千早を強く抱いた。 「……千早……。いっぺんだけ、言わせて……」 気持ちのままを言葉に乗せる。 「な、に……?」 「おまえは、おれだけのもんや」 新は今まで一度も千早をそう呼んだ事はない。初めて耳にした呼称に千早は自分を抱いている力強い腕にそっと手を添えた。 「はい。……あなた」 千早も初めて使う呼び方で新に応える。 「……だから、新になら何をされてもいい……どうなっても、いい」 「そんな可愛い事、言うなや……。千早は、おれ泣かす気か?」 抱く腕に力を入れ直し、新はゆったりと動き始めた。 |