POSSLQ
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「開いてた手、離していいざ、もう……」 繋いだままにしている千早の右手に新は指を絡め直し、右腕を千早の脇に差し込んできつく抱く。千早が左腕で背中にしがみついてきた。 「新……あらた……」 向かい合って抱かれると安心できて好きだ、と時々言っている千早はうっとりした声音で名を呼んでいる。 「……動くざ?」 優しく告げて新は腰を使い始める。普段この体位を取る時は腕を伸ばして体重を支えているが、今は千早を抱き締めたままでいたくて、腰だけで動き出した。 「あ……んっ! 新ぁっ、んっ! 変だよ……私、っあ、もう……いきそう……っ! あ、あ……っ、ああっ!」 普段と違った愛撫や体位、千早自身が新を受け入れる手助けをしたせいか、大して動いていないのに頂点が近いと訴えかけてくる。 「何も変なことない。そのまんま、いきね? ……千早」 きつく抱き締めたまま言葉を送る。千早の内側は言葉通り熱くなり、早くも新を奥へと引きずり込みにかかる。新は可能な限り大きく腰を送り込んだ。 「あっ、やっ! もう、もうダメぇっ!! ……いっちゃう! っあ、ああぁっ、いく……っ!!」 指先が白くなるほど強く新の左手を握りしめ、体内に昂ぶりを収めたまま弾け飛ぶように千早は震える。 「っ、ああぁ……っ、い……くっ、──っ!!」 何度も何度も蜜を噴き上げ、千早は登り詰めた。 「……う……ん……」 余韻の波が静まってきた千早が小さく身じろぐ。 「ごめん……私だけって……」 中に留まっている新の勢いがそのままだと気付いたのか、一人だけ先に達した事を気にしはじめた。 「気にせんでいいって」 「ううん……手、離していいから、新の動きやすい格好で……いって?」 そう言われて少し考える。 「……外歩く時みたいに、手……繋ぎ変えれば、大丈夫やよ」 絡めていた指だけそっと外し、手の平は重ねたままで角度だけを変える。これなら左手の付け根と右腕で自分の身体を支えておけそうだ。 「抱き締めてあげられんけど、いい?」 「うん。わがまま聞いてくれたから。新」 身体を支え直し、千早の顔に笑いかけてから新は動きを再開させた。 「……っ、あ……! 新……深、い……!」 普段通りに腰を送ると、千早が感じやすい奥の方にしっかり届けられる。濡れたままのそこがまた、きつく新を締めてきた。 「千早……っ」 ひくつく千早の感触は新の水位を一気に押し上げた。新は思いの丈を全部送り込むように、動きを速く大きくしていく。 「あんっ、あ、あぅんっ! っふぁんっ! いい、新っ! んっ! もっと、欲しい……!」 ついに全部の箍が外れた千早が貪欲に新を求め始め、新が動くたびに背中が撓り、唇から熱い吐息が紡ぎ出された。 「いくらでも……、欲しがって……」 左腕に乗せたままだった千早の脚の位置を、右手で直して新はまた動く。 「……! そこ、は……! ひ、ぁんっ! また、いっちゃう! やぁ……っ! んぅっ、いっしょ、一緒がいい……!」 千早の締め付けが一段ときつくなり、気を抜けばあっさり果てそうだった。 「っく、……合わせ、られる……。千早……、い、って……!」 「あぁっ、あ……っ! お願いっ……! 一緒に、っあぁっ、もう……ダメぇっ! あらた、新ぁっ!」 熱く柔らかく、それでいて新が引き込まれる。もう堪えきれず、新は限界まで動きを速めて溢水点を超えていく。 「っぁ、おれも、もう、いきそうや……! ちはや、千早っ! 受け止めて……!」 「……っあぁ! い……くっ! いく、新っ! お願い……っ、来、て……!! っふ、あぁぁ───んっ!!」 吸い込みながら波打つように蠢く千早の奥に、新は腰を大きく震わせて爆ぜた。 呼吸が落ち着き、柔らかく抱き合っている間、千早は何度も新の手を握ったり、手首を持って光に透かし見るようにかざしたりを繰り返している。 「さっきから何べんもそうやってるけど、おれの手、何か変なんやろか?」 「……あ、ごめん。変とかじゃなくて。新の手なんだなあ……って」 しみじみとした口調で千早が答えてくるが、意味がさっぱり分からない。問いを重ねると、千早は小さく笑った。 「あったかくて、大きくて。……かるたで鍛えたタコがあって。高校の頃は気持ちを知りたくて、届かせたいって思った手。大学に入って、私を守ってくれたり叱ってくれたり、すごく楽しい試合をしてくれる手……」 もう一度手を握って、千早は続きを口にする。 「そんな大好きな新の手が、今も、これからも私だけの手なんだなあ、嬉しいなあ……って。そんな事ちょっと考えてたんだ」 手を繋ぎっ放しでのセックスという新には窮屈に違いない筈の望みを叶えてくれた後だったから、余計そう思ったのかも知れない、と話を締めくくった。 「うん。千早だけの、おれの手や」 照れ隠しも手伝って、千早がかざしていた右手の平をその顔に向けながら、気付いているか、と新は口を開く。 「気付くって、どういう意味?」 「当たり前やけど、生活してたら色んなもん触るけど。ペンとか食器とか、他にも色々」 それは新の言う通りだ。千早は頷いた。 「ほやけど、おれが自分の意志で右手……特に中指で触ってんのは、おれにとって大事なもん……かるたの札と、千早だけや」 そう言葉を送ると、頬を染めた千早が手を取ったまま、新の右手中指に小さなキスをくれる。 「これからもずうっと、そうしてく。大事な札と、大切な千早。触りたいっていうおれの意志で。……一生」 「……うん」 千早が腕の中に潜り込んできて、その背中を新は優しく「右手で」抱いた。 |