POSSLQ
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出してきた布団の上に千早を横たわらせ、着ている物を脱がせて自分も裸になる。新は伸ばした両腕で身体を支え、その下に居る千早に視線を合わせてから告げた。 「……休み合わんくて、こういうチャンス減ったし。今日は覚悟しといてや?」 まるで試合前のような一言に、千早はクスクス笑いながら新の頬に手を伸ばす。 「最近、会うたびにそれ言ってるよ? 私も毎回答えてるけど……いっぱい、して?」 「うん。……千早の好きなように、したいだけ……おれにも、してな?」 新はそう言って身体を倒し、優しいキスをする。忙しくて肌を合わせる機会が減った分、二人の身体はあっさりと燃え上がり、敏感な千早はキスの合間に艶めかしい吐息を新の鼓膜に届け、それが新をまた煽った。 「何かな、千早抱く時って一年の時に戻ってるみたいやわ。……千早が部屋来るとすぐ我慢利かんくなって、やりたがってたやろ? おれ。……どこででも、何べんでも」 敏感な耳元で囁くと私もだよ、と答えるくせにに背中はしなやかに反り、それを耳元で言うのはダメだと千早は相変わらずな可愛い声を新に投げ返してくれる。 「覚悟しろって、さっき言ったざ?」 千早を抱き始めた頃のような、息ごと奪うような勢いで新は唇を求める。千早の両手はいつもと同じに背中へ回った。 「……んっ、ぁ……っ……」 柔らかい唇の感触に燃え立たされた新の舌が口内を探り出すと、小さな声を漏らしながら千早は応える。それをもっと聞きたい、と指先で耳元に触れた。 「あんっ、やぁ……。もっと、キスしたい……」 指で撫でられて身を捩った拍子に口付けが解け、千早がキスをねだってきたが、新は顔をずらして今度はその耳に唇を這わせる。 「んっ……! そこ、ダメ……っ、弱いの、知ってる……くせに……」 「……千早かって、分かってるやろ? わざと、してるって」 新は唇を離さず言い返した。大好きなかるたでも周囲から「イヤなかるた」「ドS」と呼ばれ、自分自身「五歳相手でも手加減しない」と公言している事だ。 「かるたと同じだけ、千早が大好きやのに、手加減なんかする訳ないがの」 そう告げている間に新が息を継ぐだけでも、千早の身体はどんどん熱くなっている。背中に回したままだった指先に力を入れた千早が、吐息を漏らす合間に辛うじて言葉らしい声を紡いでくる。 「……っ、いじわる。だけど……、そんな、新も……好き」 「うん。全部、おれや。……ほやで」 今度は耳元から顔を離し、上気している頬へキスを落としながらずっと全部好きでいて欲しい、と声を届けて、千早が求めていた通りまた唇を合わせた。 「新……」 啄むようなキスの合間に名を呼ばれ、目線を合わせようと顔を上げた新の首を抱いた千早が頬を寄せる。 「……させて?」 会う時間が減って以来、本格的なセックスに移る合図のような言葉が吐息のように耳元で囁かれた。 「おれ一回目って早いで、お手柔らかにの?」 とは言え何度も身体を重ね合ってきた分、新もそれなりには堪えられるようになっていた。 「うん」 千早もまた、新が耐えきれず放ってしまうほど激しい口腔での愛撫は最近していない。さっきのように一応会話ができる「前哨戦」から脱し、お互い熱を孕んだ身体でのコミュニケーションを取りたいと新に「言い」、新からも言葉以外の答えを「聞く」、そんな会話に近い。 「入れ替わろ?」 言葉を受けて新は千早の上から身体を退かし、それに合わせて千早が横にずれて開けてくれたスペースに仰向けになる。さっきの新と同じように千早がその上に覆い被さって軽いキスを唇に、頬にと気ままに落としながら身体を下げていく。 「新って、やっぱり肌すべすべ。……雪国育ちだからかな」 指先で胸板や腹筋が形作る窪みを撫でながら千早は呟いた。 「……雪国、って程で……ないやろ」 少し声を詰まらせて新が言葉を返してくる。実際、案内してもらい何度か見て回った福井の風景は、千早の中にある「雪国」のイメージとは少し違っていた事を思い出す。 「小さい時からかるた取ってて、インドア多かったから、かなあ?」 千早は脇腹や腰骨のあたりに小さなキスを落とす合間に問いを重ねた。 「そ……れは、あるかも……知れん、けど……」 息が乱れ始め、焦らすなと言いたげに瞳が拗ねるのを見た千早の心に、普段は自分ばかり同じように焦らされ、何度も高みへと押し上げられる事への仕返しがしたい、という悪戯な気持ちがほんの少しだけ芽生える。 「……ふふ」 千早は小さく笑って身体の位置をさらに下げ、待ちわびている先端に望み通り唇で触れ、小さく音を立てて吸い付いた。 「あ……」 優しいキスに身体が跳ねるのを喜ぶように千早が自分を飲み込み、熱く濡れた舌で舐め上げてくれる。それに対抗して堪えたいと新は片手で千早の頬に触れ、指先を敏感な耳元へ持っていこうと動かす。 「……今は、だめ」 突然離れた唇の代わりに千早の掌が唾液を潤滑剤にして、まるで頭を撫でるように先の方で柔らかく動いた。 「っ?! そ、れ……、ダメや、って……!」 あまりにも強烈すぎて抑制が利かなくなるからと告げてあり、千早も納得してくれたのか、近頃は控えてくれていたそれに不意打ちを食らって、目蓋の裏に閃光が走る。 「……たまには仕返ししたいかなあって」 そんな事を言う千早の手がまた撫でてくる。 「仕、返し、って……、言ったかって……っ、おれ、ど……か、なってまう……!」 その手に決して力を入れてこない分、自分の零した露に塗れた掌がぬらりと先端を滑るたびに、身を捩りたくなるような快感が腰から一気に駆け抜ける。堪えたくて新は目をきつく瞑った。 千早の手の平に何度か同じように撫でられ、そのたびに新の身体は跳ね、目に涙が滲む。 「あ、あ……っ! そこ、だめや……っく……、ちはや……っ、……っあ、お願いや、千早、お願いやから……!」 感じだした時に千早が上げるような声を押し留められない。 「何?」 とうに分かっている事を敢えて訊いている響きが短く尋ねる声にはあったが、問うてくれた事で言葉を発するチャンスをくれている。どうにか口を開けた新は震える声で求めた。 「先に、いかせて、いいで……、我慢、せんし……、声、聞いても、構わんから……」 ほとんど泣いているような声で、普段通りに頂点まで導いて欲しいと乞う。 「……うん」 千早は素直に掌から解放してくれ、望んだ通り新を含んでゆっくり顔を動かしだした。 「あ……凄い、気持ち、いい……ちはや……」 上体を起こした新はもう一度手を伸ばし、長い髪を優しく撫でた。応えるように蹲った千早が深く浅く新を飲み込む。 「んっ……」 ペースを変えて吸い上げられ、気まぐれに熱い舌が這う。そこに優しく握り込んだ片手が口と一緒に動く中、時折千早の唇から漏れる籠もった声は、昂ぶったそこに触れられる感覚だけでなく目や耳からも新の頭を蕩かしにかかった。 「……っ、千早……っ、いかせ、て……」 我慢しないとさっき口にした言葉通りに、抑え込まなかったせいで溢水点が近い。 「いい、よ。……受け止めて、あげるから」 口を離した千早が優しく言葉を紡いでくれた。 「ちは、や……、一番、いいとこ……し、て……。おれ、もう……っ」 無意識に千早の肩や背中に手を這わせ、限界が近い事を伝えた。細い指先が一番達しやすい部分に添うと、少しだけ強めに新を握り直して大きく速く動き出す。耐える術などなく、腰の深い所からせり上がってくる感覚が頭の中を一気に焦がす。 「……もう、だめや……っ! 千早、千早……!」 何を口走っているかなど、新自身もう意識していない。細い肩に触れていた手に力が入ると唇が先端を柔らかく含んでくれ、それが新にとどめをもたらした。 「っあ、い……くっ!」 目が眩み、腰が大きく震える。告げてくれた通り千早は迸らせた熱を全て唇で受け止めてくれた。 |