保湿系トライアルセット

Photograph 3

R18版



 千早にキスしながら、新はふっと考えた。
(……まだ、じいちゃんには敵わんけど。千早が側にいるって事だけは、おれの方が嬉しいんかもな)
 祖父にも佐藤先生という生涯のライバルで親友がいたが同性だ。ライバルでありながら腕の中に抱ける存在でもあるという、その事だけはきっと祖父より恵まれている。そう感じて新は口付けを深くしていった。
「……っ、ぁ……んっ……」
 合わさった唇の隙間から、少しずつ甘い吐息が漏れはじめる。舌を絡めると千早の手が新の肩をさまよい、首筋を優しく抱いてきた。その手を取って指先にもキスを落とす。
「ちゃんと抱いても、いいか?」
 少しだけはにかんでから、うん、と頷いてくれた。

 「もっと広い部屋やったら、ベッド置けるんやけどなあ……」
 どうしてもこの時に一旦中断しなければいけないから、と押し入れから布団を出しながら新は愚痴っぽく呟く。
「……そういうトコ行った時限定でいいと思うけど」
「それはそうなんやけどさ。……こっち、おいで」
 素直に床から立ち上がり、側に腰を下ろした千早を新は横たえさせた。
「まあ、いいか。そんな程度でテンション下がらんし、おれ」
 仮に千早が少し素に戻っても、また火を点ければいい。そう思い直して唇を敏感な耳へ持っていった。
「やぁ……っ、いきなり、って……。そこ弱い、のに……」
「……千早が感じるって、知ってる。ほやでや」

 思った通り千早が身を捩って可愛らしい反応を見せてくれ、新に点った火も大きく燃えさかる。細い指が服の肩をきゅっと掴み、耳元にキスする度に指先にこもる力も強まった。それに自分の腰に感じる熱も更に千早を求め出す。
「……あ、……っん……、ね、え……キス、して……」
 もっと燃えて欲しいから新はその求めに応じる。千早の柔らかな唇を小さく啄んだり軽く吸い上げてから、今度は一気に深く奪うように口付けた。
「ふ……ぁ、っ……、んぅ……」
 舌を絡めて新の中の熱を送るごとに組み敷いている身体が同じ熱さで応え、それがますます新のキスを大胆にさせる。服を掴んでいた指先が背中をさすらい始めた。
「さっきな、……ちょっと考えてたんや」
 一度キスを解き、耳元で言う。
「……っ、あんっ!」
 それにも千早の背は撓り、彷徨っていた手が背中をきつく抱いてきた。

 構わず新は話を続ける。
「おれが、じいちゃんに……勝ててる事。……千早が、おれの側に居る事や」
「うれ、しい……けど、っ、そこ、ダメぇ……っ! 聞け、なく……なるから……!」
 聞けなくても構わない、何度でも言うからと言葉を重ねた。
「……やぁぁ、あら、た……っ、いじわる、しないで……」
 甘い声が唇から漏れる。そのまま耳元で小さく笑ってから首筋に唇を這わせ、千早の服の下に潜り込ませた手で柔らかく盛り上がった胸をブラの上からそっと揉む。
「あ、あ……、あぁ……、っ、んっ!」
 散々耳元で囁いたせいか、千早はいつもより敏感な反応を見せた。カップの脇から指を差し込んで確かめると、つんと立ち上がった先端の感触が伝わる。
「あぁぁんっ! い、い……、身体……熱い、よ、新……」
「……脱がせるざ?」
 少しだけ耳から距離を取ってそう告げると、千早は新の背にしがみついたまま頷き返した。

 時々千早の額や肩にキスを落としながら着ているものを全て脱がせ、新も裸になって覆い被さる。千早のほっそりした腕が抱擁を喜ぶように背中に回った。
「千早、もっぺんキスしよ?」
 素直に視線を合わせてくれた顔に笑いかけて千早の唇を塞ぐ。
「……んっ、あ……、ん……」
 くぐもった声が新の鼓膜を震わせた。抱いていた片手を外すと千早もすぐに同じように背中から手を離し、指を絡ませてくれる。ゆっくりと新は頭の位置を下げていき、芯を持って待ちわびている胸のてっぺんを口に含んだ。
「あぁっ、ダメっ! んっ、新、あらた……、それ、ダメぇ……」
 感じ始めると千早は悩ましく動く身体と正反対な言葉をいつも紡ぐ。素直に言ってくれればいいのにと内心思いながら、口に含んだまま舌先でそこを転がす。
「っふ、やぁ、ダメ……っ! あぁんっ!」
 繋いだ手にぎゅっと力が入った。その言葉と反応のいい身体のギャップが千早らしくて愛らしい。自分の中にもそうした矛盾があると気付いた新は苦笑したい気分でまた更に頭の位置を変えた。

 すらりとした脚の間に膝を割り込ませて隙間を作り、そこに身体を置く。目線を下げると千早のそこがしとどに濡れて新の目を惹き付け、衝動のままに舌で舐め上げる。
「……っ、あ! ダメ、それ、ダメ……っ! やっ、あ……、っふ、あんっ! あ、あぁっ!」
 繋いでいた手さえ離して千早はシーツをきつく掴んでいる。それでいて女らしい曲線を描く腰は新が舌を動かすたびに跳ね、新を求めて艶めかしく揺れてる。そんな眺めに我慢できるはずもなく、身体ごとずり上がって千早を抱き締め、耳に囁きかけた。
「……千早。入れて、いいか?」
「っ! 来……て……」
 それを言うのが精一杯だったのか、身体の下で白い身体が焦れったそうに動いている。
「……うん」
 痛みを覚えるほど張り詰めた熱で千早のそこをなぞり、探り当てた入口に宛がって腰を沈めた。

 「あぁぁっ! 新、新ぁ、んっ、新……っ、いい……、きもち、いいの……!」
 絶頂には押し上げないで焦らしたせいか、珍しく矛盾のない声が千早の口から飛び出した。それが嬉しくて、新は千早の奥まで一気に入り込む。
「あっ、だめっ! い、っちゃう……! あらた……っ! もう、わたし、もう……!」
 まだ腰も使っていないのに、千早が言葉通り新をさらに奥まで引き込んで頂点を極めたいと蠢きだしていた。
「……千早、いって……?」
 軽く腰を引き、勢いよく突き入れる。感極まった高い声が新の耳を打ち、もうすぐ千早が限界を超えると教えてくれていた。新は少しだけ速く腰を送り込む。
「あ、あ、あ……あぁ……! もうダメっ、い……く、……いく……っ!」
 全身を震わせて千早は達した。

 新は一度自身を抜いて脚の間から身体を退かせ、目を閉じたまま荒い息をついて脱力している千早の身体に寄り添いながらそっと抱いた。
「明るくて真っ直ぐで、よう笑うのに色っぽく煽ってくる恋人で。かるたでは切磋琢磨するライバルで。一緒に生きてこうって思った、たった一人の相手で。……すごいな、一人何役なんやろ」
 そう呟いていると、抱き締めていた千早がもぞ、と動いて目を開けたと分かる。
「……ん、何か、言ってた? 新……」
 その千早に、今考えていた事を新は言葉に乗せた。その言葉に小さく笑みながら、千早は言葉を返す。
「新も、そうだよ。ずっと追い掛けてきた背中。今は対等で勝ったり負けたりしながら高め合える、そんな人が今みたいに強く私を求めてくれる。一緒に生きて行こうって言ってくれてる」
 新の穏やかな瞳にそう言葉を送ってから、千早は少し身体の位置を変えて耳元で言う。
「……続き、しよ? 新も、いって?」
 耳をくすぐる吐息混じりの声は新のそこにまた力を与えた。

 「うん。おれも……千早の中で、いきたい。……いきなりでも、辛くない?」
 平気だよ、と言ってくれる千早の頬を撫でた新は腕を解き、その身体をまたぐように背中側に動く。
「……え?」
 戸惑う千早の腰に宥めるように手を置いて自分と同じ向きになってと告げ、側臥位で腕枕をするように千早の首の下へ片腕を通し、千早の両脚の間へ床に付いている方の脚を差し込んでから、空いている方の手で千早の腿を引き、少し弓なりにさせて挿入した。
「え、何っ、これ……っ」
「……窓の月、って言うんやったかな」
 どうして新がそんな事を知っているのか疑問に思う前に、少し反らした状態の両脚の間で深く入り込んでいる新が動きだす。
「や、ぁ……、あんっ、凄、深い……っ! あ、あ、ダメぇ、また、すぐ……いっちゃう、ってば……っ」

 それに新と向き合って抱き合えないこの格好は嫌だと言おうとした時、自由になっている新の手が身体の前に回り、千早のそこを掻き分けて小さな粒を指先でそっと触れてきた。
「……っ、ああぁあっ! お、願い……新、いつもの、んっ、格好で、い、いかせて……! お、願い、だから……っ」
 敏感な蕾に触られて、切れ切れに千早は懇願する。
「ちょっと、勿体ないけど……いいざ。……千早が、我慢せんのなら」
「しない、から……っ! だから、新、新っ、お願い、あ……あんっ! がまん、しない……からぁ……!」
 いいよと答えて新はまた分身を引き抜く。千早の身体を仰向けにさせ、腕をつっかえ棒に片足を大きく開かせて、一気に奥まで突き入れると待ちわびた千早のそこが新をきつく締め付けてきた。
「あぁっ! んっ、新、いいの、凄く、いいの……っ! っあ、もうダメぇ! 新、あらたぁっ! っ、い……く……っ!」
 二度目という事もあるのか、新に言った事そのままに、千早はあっという間に震えながら昇りつめた。




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written by Hiiro Makishima