保湿系トライアルセット

Mine Side-C 5

R18版



 「あ、あの……新……」
 新と視線が合い、顔が熱くなるのが自分でも分かる。
「こんな事、言うと……新に引かれるかもだけど。……わ、私も、見て……いいかな……」
「……おれのを、って事?」
 頷くのが精一杯だった。
「大した事ないやろうけど……見て、いいざ?」
 それなのに新は理由さえ問う事なく応じてくれる。下着を脱いで側に腰を下ろした気配を感じ、千早も身体を起こす。
(……ごめんね、新。……変な事、言い出して……)
 おっかなびっくり目を向けた新の下腹部。鍛えて引き締まっている腹筋にくっつきそうな勢いで屹立しているそこを目の当たりにして、思わず息を飲んでしまった。

 「あの、えっと……ぜ、全部……入り、切るの……?」
「どういう事?」
「だ、だって……こんな、大きいから……」
 別に清純ぶりたい訳ではない。
(けど……新はわりと色白なのに、そこだけ赤黒くて。……じゃなくて!)
 その存在感に驚いて口にした言葉に新が困惑している。また失言してしまっただろうか、と思っているところに声が届いた。
「や、大きいとかって言われるの、男としては凄く嬉しいんや。ただ入るかどうかは、おれも童貞やし何て答えていいんか分からんくて。……おれかって、他の男が勃ってるのなんか見た事ないし。……見たいとも思わんしさ」
(あ、そっか……新にだって、それは分かんないの当たり前じゃん……)
 苦笑しながら言い切った新が真面目な表情に戻る。
「……痛かったら、やめるざ? 無理はさせとないし、無理に入れたりとか、しとないし」
 今目にしているものと、無理という一言が頭の中でようやく結びついた。自分の意志を無視して入れられたら張り裂けてしまいそうだ。辛そうに告げられた新の警告の正しさを改めて知った。
「無理とかはないけど……ち、ちょっと驚いたっていうか……」

 先に確かめたら、分かるのだろうか。新に引かれる覚悟で問う。
「触、れて……みても、いい……?」
「……え? いや、いいけど……」
 頷いてくれ、そっと指を伸ばしてみる。
「多分おれ、触られたらすぐ出てまうやろうけ……どっ?!」
 自分の指が届いた瞬間、新の声が上擦った。腕や指のように中に骨があるのとは違う不思議な硬さがそこにある。大分以前に学校で教わった筈だが、今の今まで完全に忘れていた。
「……すごく、硬い。すごく……熱い」
 さっき抱き締められた新の体温より熱く、脈を打っている。
「千早と、やで、や」
 息を詰めながら新は答えてくれた。

 自分とだから、新はこんな風に昂ぶると言われて、もっとちゃんと知りたくなる。新に触れていただけの指をその幹に巻き付けた途端、新の腰がびくりと跳ねた。
「……って、ちょ……っ?! ……っ、それ、まずい……っ、出、て……まうで」
(出る、って……さっき言ってた、暴発とは……違うの?)
 千早がそんな事を考えている間にも、呼吸が荒くなった新が身体に力を入れて何かを必死に我慢し始め、自分の指を少し動かすだけでも、引き締まった身体の力がまたぐっと増す。
「う、あ……、ち、はや……っ、すご、い……」
(……新のこんな声、初めて聞いた……。何か切ないのに、私まで……さっきみたいな感じに、なりそうな……)
 気持ち良くなってくれているなら嬉しい、と千早はもう少し指を動かしてみた。
「っ、く……、……! ダメ、や……っ、もう、いって、まう……! ……っく、……っあ、……!」
 切羽詰まった声が鼓膜を打つ。それと同時に手の中の新が張り詰めるのを指が感じ取った。

 驚いている目の前で、腰が大きく震えるたびに新の先端から迸る、少し粘り気のある白いものが千早の指を伝う。
(……すごく、熱い……。けど、新、辛くないのかな……。なんかずっと、出てるみたいだし……)
 精を吐き出すたびに身体が跳ね、引きつったような呼吸が新の口から断続的に漏れていて、何ともないのかと心配になった。
「え……っ?!」
 あれだけ過酷な試合でさえ取り切るだけの体力がある新の身体がぐらりと傾いでいる。
「……っ、はぁ、はぁ……っ……」
 どうにか畳に手は付けられたらしいが、全身が汗にまみれて荒い息を吐いている新が本気で心配だった。
「いきなり、何て事……してくるんや、千早は……。って、あ。手、汚してもたな……」
(……え、もう、呼吸が戻って……? 汗はかいてるけど、普通に声が出てる……。何ともなさそうで、良かった……)
 千早が思った通り、新は身体を後ろに下げて本棚の上にあるティッシュペーパーの箱を手で引き寄せて床に落とし、何枚か引き出して手を拭ってくれる。
「無理矢理すぎた……?」
 新に押し倒された時に嫌がったくせに、自分はこんな事を新にしている。何か言われるかも知れないと様子を伺ってみた。

 「なんも。……驚いただけや」
 新が額にキスをしてくれる。照れたように笑っている新に、自分も同じ表情を返した。
「まだ、やっぱ不安? 入り切るかとか、そういうの」
「……少しはあるかも」
 新生児がそこを通って産まれてくるというのは頭では分かっているけれど、不安がないと言えば嘘になる。
「自分の身体が新を受け入れ切れるぐらい柔らかになれるのか、まだ分かんなくて。私も他の人がどうなのか知らないし、私自身がまだ処女だから自分の事でも未知数なんだ」
 不安ごと正直に告げると新は小さく笑ってくれた。
「どう言えばいいんかな。さっき身体熱いって言ってた時、おれ下手やのに、千早は柔らかくなってくれてた。濡れてくれてた。身体が自分を受け入れる準備をしてくれてるって分かって、本当に嬉しかった」
 新が上手いか下手かさえ知りようがないけれど、その言葉で自分の緊張が解れていく。そして今までになかった新しい感情が心の奥から浮かび上がってくる。
「私も、新を自分だけの人に……したい」
(……私の心も身体も欲しいっていう新の気持ちは、きっと自分が今、新を欲しいって思ってるのと……同じなんだ)
 そう考えていた時、新の腕が背中を抱き寄せてくれて、静かに横たわると唇を重ねてきた。




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written by Hiiro Makishima