保湿系トライアルセット

Mine 7

R18版



 膝を少し曲げてもらい、腿に手を当てて新はその両脚をくつろげる。開かせた脚の間に今まで誰の目も許した事がない千早が淡く色づいていて、新の喉が大きく上下した。
(……すご……)
 優しく襞を開いた内側がしっとり濡れていて、なんとも言えない艶を帯びている。
(この前触った時は、乾いて……痛そうやった。受け入れようって気持ちがあるだけで、こんな……こんなに、違う……)
「……こんな事言うと、蹴飛ばされるかも知れんけど。……ここ、って綺麗やのに、すごく、エロい。……見てるだけで、おれ暴発しそうや」
 実際告げた通りだ。さっきから腰でわだかまり、出口を求めている新の熱は痛みさえ覚えるほどはち切れそうになっている。

 「あ、あの……新……」
 頭上から降った躊躇いがちな声に顔を上げると、真っ赤になった千早と視線が合った。
「こんな事、言うと……新に引かれるかもだけど。……わ、私も、見て……いいかな……」
「……おれのを、って事?」
 耳どころか首筋まで赤く染めて頷いてくる。
「大した事ないやろうけど……見て、いいざ?」
 言葉を返して身体を起こし、履いていたボクサーを脱ぎ捨て脚を投げ出して座る。気配で分かったのか、千早がゆっくり起き上がった。
「……っ! あの、えっと……ぜ、全部……入り、切るの……?」
 解放を待ちわびているそこに視線をやった千早が息を飲み、それから戸惑ったように言ってきた。
「どういう事?」
「だ、だって……こんな、大きいから……」
 男としては嬉しい事この上ないが、それに何と返事をしていいのか新にも分からない。そもそも勃起した他人のものを見た事もない。困り切って今思ったそのままを言葉にした。

 「……痛かったら、やめるざ? 無理はさせとないし、無理に入れたりとか、しとないし」
 それは掛け値なしの本音だ。数日前は警告として話したが、辛うじて理性が残っている今は本気でそう思う。
「無理とかはないけど……ち、ちょっと驚いたっていうか……。触、れて……みても、いい……?」
「……え? いや、いいけど……多分おれ、触られたらすぐ出てまうやろうけ……どっ?!」
 そっと触れてきた千早の指で、告げようとした言葉が上擦った。
「骨なんか入ってないって、学校で教わった事あったけど……すごく、硬い。すごく……熱い」
「……千早と、やで、や」
 返事をするだけでも頭が蒸発しそうな気がする。

 そっと触れるだけに留めていた千早の指が新に巻き付き、思わず腰が跳ねた。
「……って、ちょ……っ?! ……っ、それ、まずい……っ、出、て……まうで」
 絡みついてきた細い指の感触だけでも、抗いがたい感覚が新の腰を走り放ちたくなる。もちろん回復は簡単だろうが、初体験なのに千早の指で達してしまうのが、いい事なのか悪い事なのか。頭の中がごちゃごちゃで、まともに物が考えられない。
「う、あ……、ち、はや……っ、すご、い……」
 指先で撫でられ、押し上げられた快感の波がとうとう新を飲み込んだ。
「っ、く……、……! ダメ、や……っ、もう、いって、まう……! ……っく、……っあ、……!」
 新の腰は大きく震え、限界まで張り詰めた先から勢いよく精が迸り出た。延々と続きそうな射精の感覚に新自身驚きを覚えてしまう。ようやく全てを吐き出し終えた新の身体が脱力し、ふら、と傾ぐ。慌てて畳に手を付いたが、すっかり息が上がっていた。
「……っ、はぁ、はぁ……っ、いきなり、何て事……してくるんや、千早は……。って、あ。手、汚してもたな……」
 手と腰で後ろに下がり、本棚の上にあるティッシュの箱を下ろす。弾みで近くにあった、出水が代わりに買ってやったと恩着せがましく言っていたコンドームの箱まで床に転がったが、構わず新は引き出した何枚かで千早の手を拭い始めた。

 「無理矢理すぎた……?」
 千早が上目遣いに聞いてくる。
「なんも。……驚いただけや」
 その証に顔を寄せ、額に小さくキスを落とすと千早の顔に笑みが戻った。
「まだ、やっぱ不安? 入り切るかとか、そういうの」
「少しはあるかも。……頭では分かってるんだけど。赤ちゃんが産まれてくるところだ、っていうのは」
 処女の自分の身体が、新を受け入れ切れるほど柔軟なのかは全くの未知数だ。率直な一言に新は小さく笑って言葉を送る。
「どう言えばいいんかな。さっき身体熱いって言ってた時、おれ下手やのに、千早は柔らかくなってくれてた。濡れてくれてた」
 その身体が自分を受け入れる準備をしてくれていると知って本当に嬉しかった。そう言うと千早がおずおずと口を開いてきた。
「新は……心も身体も自分のものにしたいって言ってくれた。私が怖がらないか、ずっと気にしてくれてた。……だから、痛くても……いい。怖くない。私も、新を自分だけの人に……したい」
 健気な言葉を紡ぐ千早が愛おしくて背中を抱き寄せる。そのまま横たえさせて唇を塞ぐ。

 長いキスに千早の両手が新の背をまたさすらい始め、新はキスの場所を千早がさっき大きく反応した耳元へと変えていった。
「っあ……、んっ!」
 途端に甘さを増した声に駆り立てられて舌を這わせる。
「あっ、やぁ、ダメぇ……」
「……嫌?」
 問うた言葉に千早はかぶりを振る。さっき教えてくれた通り、自分の中の感覚を伝える言葉がなかったらしい。ほっとして新はまた千早の耳に、それから首筋にと唇で吸い付く。
「あ、あぁ……っ、熱、い……。新……」
 鼓膜を打つ吐息の通り、千早の胸元はまたつんと上を向いて新を誘う。首筋にキスをしたまま指先で触れてみると、千早の唇から零れる声がますます甘くなっていった。

 素直な気持ちを新は言葉に乗せた。
「……嬉しい。千早が、おれで……感じてくれて。……ほんとに、嬉しい……」
「っ、あっ! んっ、耳元で、言うの、って……反則、だよ……!」
 口から飛び出した可愛らしい抗議に吹き出すだけでも千早の身体はぴくりと跳ねる。
「……すごく残念やけど、言わんとく」
 その代わりに頭の位置をぐっと下げて胸元にいくつもキスを落とし、ぷっくりとした胸の先に舌で触れた。
「っく、ふ、あぁんっ! あ、らた……新、んっ、あらた……」
 普段から呼ばれ慣れている筈の名前なのに、愛撫のさなかに紡がれると思った以上に悩ましく、新の背筋に電流のような感覚が走り抜ける。千早、と呟いて新は身体の位置をさらにずらした。




Next


written by Hiiro Makishima