Mine 6
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さっきも言ったけど、と新は話し始めた。 「きっと千早もそうやと思うけど、おれ、キスした事さえない。……そのせいで戸惑わせるかも知れん。無理矢理でないにしても、焦って痛がらせたり怖がらせたりとかがあるかも知れん。……ほんとに、それでいいんか?」 答えの代わりなのか、千早の腕が新の背中にそっと回された。 「……ありがとう……」 一言呟いて、千早を抱き留めていた腕を片方外し、千早の頬に出来るだけ優しく添わせる。顔を上げてくれた千早の目が恥ずかしそうに少し伏せられた。初めて目にする千早のそんな様子に吸い寄せられるように、新は唇を寄せ、ほんのり紅い千早の唇にそっと触れた。 「柔らかいんやな……」 唇が離れた時、新は驚嘆したように呟く。 「……新も、そうだよ……」 そう返してきた千早が、はにかむような笑みを浮かべた。その表情が新を心底安堵させてくれる。 「やっぱり千早は、そうやって笑ってる方が……似合う」 ずっとそうやって笑っていて欲しい。 「……嬉しい時は別やけど。……もう、泣かさん」 少なくともそうする努力は続けていく。そう考えていたところに、千早が少し伸び上がって頬を合わせてきた。 「うん」 「抱き締めて、いいか?」 頬を合わせたまま、千早が頷いてくれる。驚かせないように、けれど胸の奥から沸き上がる気持ちをこめて、千早の背中をしっかり抱いた。合わさった胸に響く鼓動は一体どちらのものだろうか。 (どっちでも、いい。……すごく、嬉しくて幸せやから) 今度はごく自然に唇が重なる。背中に回された千早の手が新の服をきゅっと掴んできた。不安なのかと思ったが、千早が唇を離さなかった事でその意味が新にも伝わる。それが嬉しくて少しずつ新のキスは深くなっていった。 「……ん……っ……」 今まで聞いた事のない、くぐもった声が新の全身に電流のような衝撃を走らせる。 ゆっくり舌を差し伸べていくと、千早は優しく受け入れてくれた。 「ぁ、……っふ、あ……っ」 唇が少し離れるたびに紡がれる吐息に、ついつい先を急ぎたくなってしまう。酷く勿体ない気分で一度唇を離して、新は尋ねる。 「……寝かせて、平気?」 「うん……聞かなくて、いいよ……」 その言葉が新に勇気をくれた。畳の上にひっくり返らないよう、千早の腕を引いて座らせてから仰向けにさせる。恥じらった頬が少し朱を刷いていた。 「あ」 今更ある事に気が付いた。千早が訝しげに見上げている。 「や、ごめん。玄関……鍵開いてるまんまや。この状況でそれってまずいで、閉めてくる」 「……うん。けど、何で開いてたの? 新、いつもちゃんと施錠してるのに」 よりによって千早に訊かれるとは、と思うが正直に話す事にした。 「さっき話す前。もし千早が……やっぱり耐えられんって思ったら……。逃げるって変な言い方やけど、邪魔せんようにしたかった」 「私がどう答えるか分からなかったから……逃げ出す私を、追い掛けないため。……そうだよね?」 その問いに頷くと、鍵を掛けてきてと千早が言った。それに短く言葉を返し、新は玄関扉を施錠し、部屋の襖も静かに閉めて戻ってくると、千早と同じように下着だけになって寄り添うように横になった。 「ごめんな、なんか雰囲気ぶち壊して。……白けさせてもたかな」 それを聞いた千早が少しだけ身体の向きを変えて、新の頬を優しく撫でてくれる。 「あの、ね……? キスだけは……実は、二度目なんだ……。言えなくて、ごめん」 千早はつっかえながら、高校三年の時、退部絡みの話で地雷を踏んだ事に腹を立てた太一に唇を奪われた事を告げてきた。 「だけど……だけどね。私が自分の意志でキスしたのは……今のが初めてで、キスされて嬉しいって思ったのも、初めて。……信じて、くれるかな……」 新は頷く。 「……ありがとう」 正直に話してくれた千早の気持ちを無駄にしたくない。新はなるべく静かにその身体に覆い被さった。 「もっぺん、キスさせて……?」 怖がらせたくないのもあるが、千早のファーストキスを太一が持っていってしまったなら、自分は何度も千早にキスをして張り合いたい気持ちもあった。 「さっき言ったのに。聞かなくて、いいって……」 困ったように笑ってから、頬を撫でていた手を取ってしっかり繋ぎ、静かに口付ける。唇が深く合わさると、また吐息のような千早の声が新の耳を打った。 熱に浮かされるように唇を離し、可愛らしい耳朶にもキスをする。 「あ……っ」 身体の下で千早がぴくりと跳ね、怖いのかと様子を見る新の手に指を絡めて平気だと伝えてくる。ほっとした気分でもう一度唇で触れてみた。 「……あ、んっ!」 今度こそはっきりと、艶めかしい声が千早の唇から紡がれる。感じ始めてくれている事が嬉しくて、細い身体を強く抱いた。 「千早……、千早、好きや……、大好きや」 その言葉にさえ千早は素直な反応を返してくれ、泣き出したいような気持ちで新はそっと片手を下ろしていく。この前は強引に引き上げてしまったブラの留め具を今日は丁寧に外す。柔らかな胸が視線の先にあった。 (……あんな風でのうて、本当は、初めて千早の身体見る時は、こうしたかった。怖がらせんと、千早が……) 「見ても……いい、よ……」 考えていた事そのままの言葉が、千早の口を吐いて出る。何故分かったのかと不思議に思いもするが、気持ちが一つになっている事が幸せだ、と新は焦げ付きそうな意識のどこかで感じていた。 「綺麗、やな……」 思ったままを呟いて、淡いピンク色をした胸の先端に唇を寄せる。柔らかく吸い上げて舌先で触れると千早の背中もしなやかに反った。 「んっ……やぁ、新……」 声は甘いが、あの時と同じような言葉に新は一度口を離して、怖いかと尋ねる。 「そうじゃ、ないの。……何だか、身体の奥が……熱く、なって……。自分でも、何て言っていいか……分からない」 自分の中の感覚に与える言葉がなかったと知って、新は再び千早の胸に顔を埋めた。 「……あ、あ……っ、んっ、新……、あらた……」 熱を帯びて吸い付いてくるような肌の感触を楽しむように、新は手を彷徨わせた。口に含んだままの小さな突起が徐々に芯をもって、その存在を舌に伝えて寄越す。 「……脱がすざ?」 なるだけ静かに言い、千早が身に着けている最後の一枚をゆっくり引き下ろす。小さく震えたが、千早が身体を逃がす素振りはなかった。 今度こそ初めて、一糸纏わぬ千早の姿を自分が求めていた形で目にする事が出来た。無駄がなく、引き締まったウエストや柔らかな曲線を持つ腰、すらりとした長い脚。何もかもが新の目を惹き付けて止まない。 「痛かったら、ちゃんと言ってや?」 そう告げて滑らかそうな腿を撫で、新の指は千早に辿り着き、傷つけないようにそこをそっと開いた。 (……千早が、濡れてる。……感じて、受け入れようって……してくれてる……) 探り当てた小さな粒に、優しく優しく指先を触れさせる。 「んっ、あぁ……っ! 新、新……っ!」 千早が声を上げるたびに、可愛らしい自己主張をし始め、添わせる指に熱いぬめりがさらに伝わった。 「……千早……、見、ても……いいか」 求める気持ちのままの問い掛けに、少しの間を置いて千早が口を開く。 「恥ずかしい、けど……。あ、新なら……、新に、だったら……、構わ、ない」 消え入りそうな声が応えてくれ、新は身体の位置をずらした。 |