さびしさに
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「……千早、手……繋いで、いいか?」 新が問うと、千早は背中に回していた片手を下ろし、手探りで新の手を見つけると指を絡めた。その手をしっかり握り返しながら、新はそっと千早の唇を塞ぐ。 「ん……、っ」 合わさった唇の隙間から時折漏れる千早の甘い声。頭の芯がくらりと揺らぐが、新の心に生み出されるのはさっき焦っていた時と違い、その甘い声をもっと千早から引き出させてあげたいという思いだった。そっと千早の舌を絡め、長いキスをする。 「……は……ぁっ、ぅ……んっ、……」 下に組み敷いた千早の身体が徐々に熱くなっていくのが分かり、新は繋いだ手に力を込める。それを喜ぶように千早の指が応えたのを感じ取って、新はキスを落とす場所を少しずつ変えていった。 「っ、……あんっ!」 唇が千早の耳朶に届いた瞬間、千早の背中がぐんと撓った。弾みで長い髪がふわりと舞い、花のような香りが新の鼻をくすぐった。 「……すごくいい匂い、する……」 「ふ……っ?! わ、かんないよ……。って言うか、耳、ダメ……っ」 いつもの千早らしい反応が返ってくる。 「辛い?」 「……っく、ふ……あ、新……」 背中に回したままの方の手が、きゅっと服を掴んで「ダメ」の意味を伝えて寄越す。新は唇でついばむように首筋へのキスを繰り返していった。 「っ、ん……っ! あ、らたぁ……っ」 泣いているようにも聞こえるその声を耳にして、新は繋いでいた手を一度解く。 「……脱がせて、いい?」 千早が頷くのを待って、そっとTシャツをたくし上げて脱がせると、さっき強引に引っぱり上げたブラが視野に飛び込んでくる。その生地の下、ちょうど千早の胸骨の辺りにうっすらと赤いひっかき傷が残っているのに新は気がついた。 「無茶してごめんな、千早」 丁寧にブラの金具を外した新はその傷にそっと舌を這わせる。 「気にしてないよ……っ、でも……ちょっと、くすぐったい……そこ」 言葉を返しながら千早が軽く身を捩る。新は短く応え、つんと尖った薄桃色を今度こそ口に含んだ。 「っあ……! ンっ、それ、だめ……ぇ……。変に、なっちゃう……」 千早の紡ぐ言葉と反応がますますバラバラになっていく。新は片手を伸ばし、宥めるように千早の頬をそっと撫でた。その頬が手の平にそっと押し当てられたのを受けて、新は胸元への愛撫を再開させた。 「あっ、やぁ……っ、待て、なく……なっちゃい、そう……っ」 新の舌先がそこを転がすたびに、千早の唇から漏れる言葉の余裕が失せていくのが分かる。そこを含んだまま頬に添わせていた片手を下ろして今度は滑らかな腿をそっと撫で上げる。 「さっきのお詫び……って言うと変やけど。千早のタイミングに、全部……合わせるで。入れるのも、動かすのも……いくのも。ほやで、遠慮せんと言うてな」 その一言に千早は耳まで赤くしながら、それでも頷き返してくれた。安堵の息を吐きながらスカートのホックを外して爪先の方へ押しやると、千早が新の片手をそっと取って、たった一枚残っているショーツの端にその手を導いた。 「……これも?」 千早が目線で頷くのを確かめて、新はその小さな一枚を丁寧に千早の爪先から抜き取り、自分も着ていた物を手早く脱ぎ捨てる。 「新……ちょっとだけ、ぎゅって……して」 「うん」 新はなるべく静かに身体を倒し、両腕を千早の背中に差し込んで細い身体をきつく抱いた。 「息、苦しくない? 千早」 「……っ、ん、平気……」 耳元に息がかかったのか、腕の中の千早がぴくりと震えた。合わさった胸に響く鼓動は一体どちらの物なのかもう分からない。その心地よさに駆り立てられるのは千早も同じなのか、抱き合ったまま再び息を乱し始めている。 「……あ、の……新……」 「なに?」 そんな返事にも千早が鋭敏に反応しているのが分かる。 「お、ねがい……。来、て……」 恥じらいながら口にした言葉が新の胸を打ち、その望みに応えたいという思いがもっと強くなった。 「……うん。腕、片っ方だけ、ちょっと抜くでの?」 新は全身を横へずらすようにして、千早の両脚の間に自分の身体を置く。自由になった方の手でそっと千早の入口を開くと、指先に熱く濡れた感触が伝わってきた。千早が膝を曲げてくれたおかげで、自身を宛がい易くなった新は先端を少し千早の中に埋める。 「……んっ……!」 押し開かれる感触に千早の手が宙をさまよっているのが見え、新はその手を取ると自分の肩口に触れさせ、少しずつ、少しずつ千早の中に潜り込んでいった。 「あ……あ、……っあぁ……」 新が入り込んでいくにつれて、千早の唇から艶めかしい声が漏れる。ようやく全てを収めた新は身体を倒して再び千早をしっかり抱き締めた。 「……っ、あらた……。新が、居る……。なんか、凄く、分かる……」 「おれもや……」 吐息混じりの声がお互いをまた昂ぶらせてしまう。 「……じっとしてる方が、いいか?」 千早に全て合わせると言った以上、千早の熱と柔らかさに思い切り腰を使いたいという男としての欲を新はぐっと押さえ込む。 「あンっ! ……耳元、ダメぇ! ……っ、腰……動いちゃう、から……っ」 「いいざ? 千早の思う通りで……」 「やっ、やぁんっ! やだ、どう……しよう……っ! ダメ、ダメ……ぇっ!」 短く答えた時、身を捩ったせいで逆に感じやすい所に新の先端が擦れたらしく、千早のそこがどんどん新を締め付けてきた。 「あ、あ、あ……っ、新っ、お願い……お願いっ、もう、私……もう……ッ!」 背中に回されていた千早の手が新の肩や腕、腰とあちらこちらを彷徨い、頂点が近い事を伝えてくる。 完全に切羽詰まった声で千早は新に動いてくれと辛うじて告げた。 「……分かった」 新が軽く腰を引き、再び千早の奥を目がけて突き入れる。 「んっ、あぁんっ! い……っちゃ、う……っ!」 その言葉通り、千早の締め付けが一段ときつくなり、新を奥へ奥へと誘い込みだした。 「千早……っ、凄い……」 一度放って余裕があるせいか、自分をどんな風に包み込み、締め付けてきているのか普段より分かる気がする。頭の中が焼き付きそうな中、新は大きな動きで千早の中を行き来させていった。 「やぁぁ、っく、ん、んっ、───ッ!」 ぐん、と背中が大きく撓んだ次の瞬間、千早は全身を小刻みに震わせて達した。 |