Costume 4
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「……新の、いじわる」 ようやく息が整った千早が新の腕の中で膨れたように言う。 「何が意地悪なんやし」 「これ着たままとか、罰だー、って言ったりとか……、ち、ちゃんと……して、くれなかったり……とか」 最後だけ口ごもりながら言い返してきた。 「罰は事実やろ。……まあ他は、おれの欲求やけどさ」 実際メイド服姿の千早にそそられて、してみたくなった事ではある。 「……千早がそういう喋り方ん時は、大抵仕返しやー、って言ってくるけど袴ないざ? 仕返しは別に構わんけど」 先手を打たれて千早は口を閉ざし、それから起き上がると背中のファスナーを閉めた。 「作戦変更」 そう言って新を仰向けにして奪うようにキスをする。それの何が変更なのか、新にはよく分からない。 「せっかくメイド服だもん。全部、私からしちゃう。新には触らせない」 「全然仕返しにはなってえんな。……まあ、好きにしね」 雑誌かなにかで読んだ覚えがある「ご奉仕」という言葉が不意に新の頭をよぎる。 (いや、それは千早に失礼や。下に見てるって事やし。……格好は似合うけど) そんな事を考えていた新の身体にそっと重みがかかって千早が身体を倒してきたと気付き、いつものように抱き留めようとしたが「触らせない」と言ってきたのを思い出して上げかけた腕を下ろした。 「ふふっ、なんか素直だね、新」 耳元で囁かれるとぞくぞくした感覚が背中を這い上がってきて、思わず身を竦める。耳や首筋への愛撫に備えようと思っていた時、千早のほっそりした指はジーンズの上から予告もなしに、すっかり立ち上がっているそこを撫で上げる。 「く、……っ!」 まさかいきなりそこを触れてくるとは思っていなかったせいで、上擦った声が口を吐いた。 「気持ち、いい?」 指先を這わせたまま、千早の悪戯っぽい声が鼓膜に届き、あっという間に息が荒くなる。 「……、いい……。千早は、いつも……気持ちいい」 思ったままを言葉に乗せると千早の唇が重ねられた。 入り込んできた千早の舌が口内を探り出すと、新の手は千早に触れようと動いてしまう。 「ダメ」 その手を押さえられて、ようやく「仕返し」の意味を実感した。 (気持ちいいのに、触られんのって……、残念やし、めっちゃ厳しい……) 目の前に感じやすい耳があるというのに、キスさえ出来ない。上にのしかかっている千早の柔らかさを触れて確かめる事も出来ない。そんな事を思っている間にも、千早のキスは大胆になり新のボルテージを押し上げ続けた。 「……っ、は……っ、あ……。ち、はや……」 自分でも驚くほど色が混じった声が喉から出る。 「脱がせるよ?」 キスを解いた千早の声にさえ新の身体が小さく震える。ゆっくり一つずつシャツのボタンを外されるのさえ、頭が焦げ付きそうだった。 唇が首筋を這い、胸元を伝って腰へと下りていく。 「千早……、さっきの、謝る……で、千早に、触らせて……」 「……まだ、ダメ」 新の望みをあっさり却下しながら千早はジーンズの前を開けてきた。圧迫感がなくなり、新のそこは内心抱いている期待を白状するように形がはっきり浮き上がる。 「よいしょ、っと」 新の上から身体を退かした千早が下着ごとジーンズを押し下げて爪先から引き抜く。視線を遮るものが何一つなくなり、先から零れる露が下腹に垂れ落ちた。 「……っ?!」 何の前置きもなく、指で支える事もなく千早の唇が先の方をいきなり含み、新の腰が思わず跳ねる。 「っ、あ、千早……っ、……ぅあ……っ!」 ぐっと深く飲み込まれ、余裕がない声がつい漏れる。そんな新の顔を千早が上目遣いに見ていて、高まった興奮が新の腰を動かせた。 「……千早、ちはや……っ」 暴発しかねない程そこに熱が集まった時、不意に千早が唇を離す。 「新……ギブアップ?」 「する……。いくらでも、謝るで……」 千早に触れて、熱くなった肌を確かめ、柔らかなその中に自身を埋めたい。日頃は負けず嫌いだが、新は素直に白旗を揚げた。 「……うん。……これ、脱がせて?」 新の降参を受け入れた千早が優しく告げてくる。それに逆らおうなどと考える訳もない。千早に腿の上へ跨ってもらって腹筋だけで上体を起こすと、背中のファスナーを指で探す。 「あ……引っ掛かってもた……」 相当焦っていたのか、生地を噛んだジッパーは途中で止まってしまう。何度か試みたものの、薄い生地が解けて絡まったのか、その位置からどうしてもファスナートップを下げられない。 「いいよ。……破いて」 その一言に迷ってしまった新に、適当に鋏を入れて捨ててもいいと言う、メイド服を預かってもらう時の話を千早が口にした。 「……分かった」 ファスナーが開いている部分の生地をしっかり掴み、両手で左右に強く引く。引き裂かれる生地が悲鳴を上げる中、千早の背中は腰まで剥き出しになる。布を掴んでいた両手を彷徨わせ、新はその滑らかな肌を確かめる。 「千早……抱かせて。なんも着んと、確かめさせて……」 一つ頷いた千早は身体の前に残った服の残骸から腕を抜き、上半身を露わにさせた。 「寝かすざ?」 千早の背中を抱いたまま一度仰向けになり、腿に跨っていた千早の脚が苦しくないよう身体に沿わせてから新は体を入れ替える。腰のあたりで中途半端に残っていた黒いスカートを膝の辺りまで引き下ろすと、千早が膝を立てて片足ずつそれを抜き取る。 「……千早……」 新が覆い被さり細い身体を抱き締めると、それを喜ぶように千早の両手が新の背中をさすらう。 「新の……真似。……ちゃんと、してくれるって、約束するなら、私にキスして?」 「うん、約束する」 約束の証を千早の額に、頬に、いくつも落としてから唇をそっと塞いだ。 「……っ、ぁ、はぁっ、……んっ……」 背中に回した指先に徐々に力が入る。それに呼応するかのように、キスの合間に漏れる千早の吐息がどんどん艶めかしくなって、また新の頭を焦がす。もっとキスを続けたい、千早を抱き締め、抱き返されたい、それだけが意識を埋め尽くした。 「あ……、あら、た……」 キスを解いた千早が名を呼ぶ。 「ん? 何?」 「……し、て……」 聞き返した新の耳を恥じらった声がくすぐった。 「もっと、せんでも……いいんか?」 問いながら耳に小さくキスを落とす。 「あんっ! お、ねがい……。新の、で……いきたい」 「……うん、おれも」 短く答えて千早のそこを優しく開いた。 |