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「……」 耳元にキスをしたり、指先で撫で上げると息が詰まり、身体がぴくりと動くから、新が感じているのは間違いないが、それ以上には反応していない様子に千早は考えを巡らせる。 (それ以上、っていうと……。さっき、お風呂から出た後みたいに、口で……とか、あと……いつもみたいに、する、とか……? でも、しちゃうと……多分、私の方が先に……いっちゃう、し……) どうしようか、と迷う。普段通りにひとつになるとしても、まだ千早の方が準備できていない。けれど今の自分は新へのプレゼントだ。恥ずかしいが言われた通り、新を頂点に押し上げてあげたい。迷いを吹っ切るように千早は新を撫で上げていた指で、試しに自分が一番感じてしまう蕾にそっと触れてみた。 「……っ!」 今まで自分で触った事はなかったが、思った以上に身体の中を電流が駆け抜けるようで千早の腰は揺れてしまう。声を抑えようと唇を新の首筋に押し当てた。 「……え……っ?」 首筋へのキスよりも、腰のあたりで何かが動いた事が不思議で視線を落とした新の目が釘付けになる。見間違いかと思ったが、確かに千早が指先で彼女自身を擦り上げていた。 「……っ、……ぁ」 首筋に唇を当てて必死に声を抑えながらのその姿に、新がぐっと嵩を増す。 「新……。これ、で……いける、かな……」 胡座の上に跨ったまま、千早の手がそっと導き、濡れ始めたそこに新をあてがった。 「……い、入れてく……ね……」 それを言うだけでも相当恥ずかしいのだろう。バランスを取るために新の肩に乗せていた手の指先に力が入るのが分かる。 (もしかして……おれをいかせたくて、自分でやって濡らせたんか……) 理由が分かった新は何も問わず、千早が動きやすいようにその腰を片手で支えた。手を繋ごうとした時とは違い、今度は千早もそれを止めない。 「ん……っ、や、あ……」 小さく喘ぐごとに、千早の中の熱と柔らかさが新を包んでいく。その感触に新が思わず吐息を漏らすと、それを喜ぶように千早の動きがスムーズになった。 「……っ、……!」 根元まで全て新を受け入れた千早の腕が首筋に回され、時々小さく震えながら息を詰めているのが分かる。無意識に新のものが中で跳ねると首を抱いている力が少し強くなり、千早が何を堪えているのか新は気付く。 「我慢せんで、いいって。……って言うか、無理せんでも、いいでさ」 新の優しい声が耳を打ち、千早は新の首筋から顔を離した。 「だけど……それ、だと……。あ、新が……、んっ、置いてきぼり……」 「……構わんよ?」 その言葉にかぶりを振る千早が健気で愛おしく、新は言葉を紡ぐ。 「なら、おれから『追加注文』させてや。……我慢せんと、いって」 「……だ、って……新……」 気が咎める、と言う千早に更に告げた。 「千早が感じてるとこ見てると、おれも感じるし、もっと感じさせたいって、思うんや。ほやから、ほんとに我慢せんくて構わんざ」 首に回された千早の手から力が抜ける。 「うん……。でも、このまま……でも、いい?……やっぱり、私が……新のこと、気持ち良くして、あげたいし……」 「自分で動く、って意味か? ……大丈夫なんか?」 日付が変わる前の時も、試みかけて上手くいかない、と言ってきただけに少し気になったが、その千早が頷くなら委ねようと新も頷き返した。 新の肩に両手を置いて、千早はゆっくりと動き出す。初めはぎこちなく、抜けてしまうのではないかとも思ったが、徐々に身体の動きが滑らかになり、こういう事にも千早の運動神経は発揮されるのか、と新は場違いな感想を一瞬抱いた。 「……っ、あ……ぁ、んっ……」 千早の唇から零れる声も、新が好きな普段通りのトーンになっていく。目の前で揺れる胸の先端がつんと尖って、千早が身体全部で感じ始めていると新に伝えて寄越す。 「千早……気持ち、いい?」 耳元で訊くと繋がったそこが艶めかしく動いて新を締め付け、答えを投げ掛けてきた。徐々に箍が外れていくのか、新の肩に縋った千早の背中が大きく撓る。長い髪が一瞬遅れて舞い、仰け反った千早の肩を滑った。 「んっ! ……や、あ……」 新が手を伸ばしてその髪を纏めようとした時、指先が耳に触れて千早から甘い声を引き出す。 (今日んたなのも悪くないんやけど……やっぱ、いつもの千早が一番いい。すごい敏感で、恥ずかしがってんのに……千早ん中は、おれを欲しがって。……ほやで、おれも何べんでも欲しなってまうんや……) 至極当たり前な結論に辿り着き、新は苦笑を浮かべた。 「……うわ?」 千早が仰け反った勢いで、新の身体が前へ傾ぐ。咄嗟に新は両手を布団の上に付いて、千早に自分の身体がぶつかるのは防げた。腰が浮き上がって繋がりが浅くなったのを感じ取ったのか、千早の長い脚は新の腰を抱え込んだ。その足首が背後で交差すると新の腰は前に、千早の身体は逆に新の方へと動く。一気に深く繋がり、新の脳裏にも火花が散った。 「千早……っ、すご……」 「新、あらた……っ!」 同時にお互いを呼ぶ声が客室に響いた。 「……あ、あ……っ! ダメっ、もう……っ!」 肩を掴む指先にぐっと力が込められ、千早の声から一切の余裕が消え失せる。 「いって、いいざ?」 傾いた上体を支えようと布団の上に付いた両手に体重を預けて、新は身体を倒す。千早は溺れる者のように新の背中を引っ掻いて感覚の奔騰を必死に堪えようとするが、新が二、三度ゆっくり腰を送っただけで忍耐は脆くも崩れてしまった。 「……ッ! ダメぇっ、新、新ぁ……! っ、い……っちゃう! んっ、あ───、ッ!!」 新を締め付ける内側が一際きつく引き絞られ、仰け反った背中が布団の上に落ちると同時に千早のそこは大きく何度も爆ぜる。自身の先端に吹き付けられるような熱い飛沫を感じながら、新は身体を支えていた腕の力を抜き、震え続けている千早の身体を優しく抱いた。 「あ……」 しばらく余韻の中を漂っていた千早がゆっくり目を開く。いつもより少し舌足らずに聞こえる声で、ごめんね、と小さく言ってきた。 「何がや?」 「置いてきぼりに、しちゃった……から。……新の、こと」 抱き締めた腕に少しだけ力を込めて、いいんや、と新は言葉を返す。 「プレゼントはもう、一杯貰ったしの」 いつもの千早が一番だと言葉を継ぐと、背中に回したままだった両腕が新の一言を喜ぶように新の首を抱いてきた。新は少しだけ顔を横に向け、千早の頬に小さくキスをすると、その柔らかい頬が新に擦り寄ってくる。 「千早、疲れてえん?」 「ん……平気。……続き、だよね?」 いつもは新の方から告げる一言が千早の唇をついて出る。少しだけ驚いたが、嬉しい気持ちの方がはるかに大きい。 「……うん。……いい?」 合わさった頬がこくり、と縦に振られた。 |