保湿系トライアルセット

201X1201 

R18版



 「……あ……」
 ようやくうっすらと目を開けた千早を新はもう一度しっかり抱き締める。
「身体、どこも痛かったりせん?」
 かなり無理な体勢だっただろうから、それが少し心配ではあった。
「……ん、大丈夫、みたい……」
「ほやったら、良かった……。ほやけどもし、体勢とかキツかったら、途中でもちゃんと言うての? ……おれ、そこらへんの限度ってまだ分からんで、言われんかったら際限なしに無茶させてまうかも知れん」
「うん。……でも今はほんとに平気」
 千早は身体を起こし、新に平気さをアピールするように上半身を勢いよく左右に捻ってみせる。
「私より、新だよ。さっき、……えっと、その……まだ、だったんでしょ?」
「え? ……まあ。ほやけど別にいいざ。放っとけばおさまるし」
 収まりがつかなくても自分で処理してしまえばいい。そんな事を思いながら新は言葉を返した。

 「ひゃぅっ?!」
 突然腕の中の千早が悲鳴を上げた。しきりに背中を気にしている様子を見て、新にも悲鳴の原因が飲み込めた。
「天井から湯気落ちたんか。……ここ窓ないしな」
 新のアパートの風呂場なら、小窓を開けて湿気を逃がす事も出来るが、この内風呂は多分、客室清掃の時に扉を開け放っておくのだろう。換気扇程度では逃がしきれない湯気が天井にいくつも水滴を作っていた。
「新、上がる?」
「……ん? なら、そうしよか」
 バスタオルでざっと身体を拭い、またいい加減に浴衣を肩から引っかけて客室に戻る。端に寄せてある座卓の上には、千早がくれたキャンディの花束がちょこんと載っていた。
「蓬菊、やったっけ。……一個、食べてみてもいいか?」
 千早は「新にあげた物だから聞かなくていい」と苦笑しながら頷く。それに新も同じ表情で返しながら花束を崩さないように一本のキャンディをそっと抜き取り、てっぺんの包み紙を剥がして口に入れた。
「……これ、パイン味なんかな。あんま食わんで詳しくないけど」
 口の中のあめ玉を舌で脇に押しやって喋る。
「パインだった? ……私も一つ、貰ってもいい?」
 さっき「あげた物だから」と言ったからか、千早は律儀に断ってから別の一本を口に含んだ。
「……あ、ホントだ。詰め合わせとかに入ってるのは知ってるけど、単体で買ったのって私も初めてかな」
 千早の唇や舌がキャンディを舐めている姿を見ていると、どうにも不埒な連想をしてしまう。新は包み紙を平らに開き、自分が舐めていた飴をその上に置く。
「……味、気に入らなかったかな……」
 千早も座卓にキャンディを置いて、上目遣いに問うてきた。
「や、飴は美味いんやけどさ。……ちょっと、要らん事想像しつんて」
「想像って……えっと、……ごめんちょっと耳貸して?」
 新の一言から浮かんだ答えを耳打ちすると、新は紅い顔で頷き返した。

 「……その、別に……いい、けど」
 さっき新を置いてきぼりにしたから気が咎める、と千早の手がおずおずと新の肩に触れてきた。
「いや、ほんな事気にせんでいいって……」
「新が照れ屋だって事は知ってるけどさ……今日ぐらい、思うまま言ったり、したりしていいんだよ? ……私も、その方が少し気が楽って所あるし……」
 普段の新はかるたを除けば、大抵何らかの意志決定が要る場面では、千早にどうしたいかを尋ねている。独りよがりに物事を決めたくないという考えからそうしているのも事実だが、千早にそう言われて新はもう少し考えを巡らせる。
(……言い方変えたらそれ、千早に最終的に決めさせてるって事でもあるんか。なんか……男らしないな、それも……)
「ん……。なら、おれ……千早に、口で、して……欲しい」
 言いつけない言葉を口にするのはやはり声が震えてしまうが、はっきり言われた方が気が楽だと千早が言うなら新にとってもその方がいい。酷く鼓動が煩いが、片手で顔を半分覆い隠してどうにか新はその一言を最後まで言い切った。

 うん、と頷いた千早が長い髪を一方の肩に纏めて流し、布団の上で胡座をかいている新のすぐ前に蹲って浴衣の前を開いた。それだけで新のそこが頭を持ち上げて、内心抱いている期待を暴露してしまう。
「……ん……っ」
 形のいい千早の唇がゆっくり開き、キャンディと同じように先の方を飲み込み始める。熱く濡れた口内の感触はいとも容易く新のボルテージを上げてしまう。昼間聞いたばかりの、新が感じやすい先端を千早の舌がちろちろとくすぐった。
「っ、千早……何でほんな、上手くなるの早いんやし……。っは、ヤバ……っ」
 新の上擦った声を耳にした千早の中に、その声をもっと聞いてみたいという欲が生まれる。ちょうど添う形に口を開けて、新を深く浅く飲み込むように顔を動かしてみた。
「……っく、千早……っ、すごい……気持ち、いい……」
 新の片手は千早の頭に伸び、髪をくしゃりと掴んでは離して放出を堪えたが、千早が頭を上下に動かす度に、唇が濡れた音を立てているのが鼓膜に響く。
「ん……ふ、ぁ……んっ……」
 くぐもった声を漏らした途端、口の中で新がいきなり嵩を増し、千早の喉がぐっと詰まってしまった。
「……けほっ、けほんっ! ……はぁっ、はぁ……びっくりしたぁ……」
「だ、大丈夫か千早?! ……ごめん、無理させつんた……! ……や、いいって、マジで」
 再び新のものを飲み込もうと顔を近付けた千早を、新は強く腕を引いて阻んだ。

 「別に、何ともないけど……」
「……おれが嫌なんや。確かに凄い気持ちいいけど、咽せるまでさせとない。……ごめんな」
 新は千早の身体を起こすと、両腕できつく抱いた。
「じゃあ……代替案。……えいっ」
 虚を突くタイミングで千早の両手がどんと胸を押し、新は布団の上に仰向けで倒れてしまう。
「うわっ、な、何……?」
 驚いて顔を上げようとした新の動きが止まった。新を突き飛ばした勢いのまま、千早の身体は新の腰の上に跨っていた。恥ずかしそうな、だが揺らがない千早の瞳と新の視線が交差する。
「……私もさ、さっきの……ドキドキしたの。……だから『してあげたい』んじゃなくて……。私が、したいの。……新が、欲しいって……思うの……」
 肩に引っかけたままだった浴衣を千早はするりと脱いで脇に置いた。千早の言葉を証明するように、胸元の小さな粒がつんと上を向いている。
「それは、おれもやし。……けど、ほれやったら上と下、入れ替わろっさ、って……ちょ、千早……?」
 新の言葉を遮るように千早は新に跨ったまま軽く腰を前後に揺らす。しっとりと湿った千早に擦り上げられて新のそこが再び勢いを取り戻した。
「……んっ……ぁ、どうしよう……。ここまで、気持ちいいって……っ、思ってなかった、から……んっ」
「千早、手……繋がせて。おれも……ちょっと、……ヤバい気、する……」
 新の言葉を喜ぶように千早が差し伸べてきた片手を新はしっかり繋ぎ、肘をついて千早が動きやすいよう安定させた。新の先端から零れる露と、千早の奥から湧き出る蜜が混ざり合って、密着したそこが擦れ合う度にお互いの身体が震える。

 「あかん、千早……っ、もう、焦らさんといてや……」
 先に根を上げたのは、意外にも新の方だった。千早は荒い息をつきながら、小さく頷いて新を自分の中へ迎え入れようと腰を浮かす。
「……え、あれ? ……やぁぁっ、あんっ……!」
 入り口を逸れた新の先端が千早の一番敏感な核を擦り上げ、千早はたちまち息を乱して新の幹にそこを擦り付けるよう、何度も腰をしゃくり上げるように動かす。
「っふ、ぁ……んっ、上手く、入んないのに……止まんない……っ、新、新ぁ……」
「……おれかって、もう……待てんって……」
 泣いているようにも聞こえる千早の声を耳にして、新は自分の手で自身をぐっと掴んで千早の入り口に正確に宛がうと、繋いだ手を一度離して千早の腰を支え、下からぐっと突き入れた。待ちかねていたものをようやく与えられた新の分身が千早の中で跳ねる。
「あぁんっ! ……新ぁ……。私、どう、したら……いい?」
「……千早の、……いいように、動けば……いいざ。……って言うか、凄い締まるで……おれも、さっきから……かなり、ヤバいんやって」
 千早は新の両脇に手を付いて軽く腰を持ち上げるが、抜けてしまいそうな気がしてすぐにぺたりと腰を戻してしまった。
「なんか、上手く……出来ないよぉ。……新、お願いっ……」
「ん……分かった。腕、ちょっとどけて……。さっきん時と、同じでも……いいか?」
 千早の腰を支えて新はくるりと体勢をひっくり返すと、千早の片足だけを抱え上げて深く腰を送り込んだ。千早は新の背中にしがみつき、一気に水位を上げた快感を必死に堪える。
「あぁあっ、っあ、……んっ、やだ、また、どうか……なっちゃうよ! 新、新ぁ!」
「なっていいって、言うてるやろ、いつも。……おれかって、もう、ほんな余裕……ないんや……っ」
 余裕のない声と汗の雫が頭上から降ってきて、千早の最後の我慢を大波のように押し流した。
「新、お願い、お願いっ……! ンぅ……っ、あぁっ、───ッ!」
 千早の身体がぐっと大きく反り、新を深く飲み込んだそこが一際きつく引き絞られる。内側で飛沫いているのが新の先端にも伝わり、千早が震えて達した後一拍置いて新も大きく腰を震わせた。





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written by Hiiro Makishima