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「あ、リボン取れつんたな」 何度も仰け反ったりかぶりを振ったりを繰り返した千早の髪から、リボンがいつの間にか解けて落ちていた。それを拾った新は自分のボクサーも脱ぎ捨てて足首から抜き取った千早のショーツと一緒に足元へ放り、すらりと伸びた脚を両手で大きく割り広げた。 (……ここまで堪えたんやし、先に千早のこと……いかせたい……) そうは思うが、新の手で大きく開かされた脚の間で蜜に濡れている眺めだけでも、新の先端から待ちきれないと露が零れてしまう。 (こういうのも、時間勝負って言うんやろか……?) 昼間一度放っている筈なのにと、新は自分の欲深さに一つ苦笑いを押し上げて象牙色の脚の間に身体を滑り込ませて、千早のそこを指先でそっと開く。 「……あぁ、んっ……」 唇から一層艶めかしい声が紡がれる。指で開いたその中に、ぽっちりと充血した核を見つけた新は指の腹で優しくそこに触れた。 「や、あぁ……っ!」 千早は爪先にぐっと力を入れ、しきりに顔を左右に振っている。縋るように伸ばしてきた手が新の肩をきつく掴んできた。指先が行き来する度に紡がれる声から余裕が失せていくのが分かる。つい夢中になって新の指先に力が加わった途端、千早の全身がこれまでになく大きく震え始めた。 「ダメっ、もう……っ、新、あらた……っ! お願い、もう……っ、あぁぁっ!」 細い腰がぐっと持ち上がったかと思うと、下肢を細かく痙攣させながら千早の身体が布団の上に落ちた。あふれ出した蜜がじわり、とシーツに丸い輪を描いている。新が手を離しても、しばらくの間千早は途切れ途切れに声を上げ、打ち上げられた魚のようにその身を震わせていた。 「……千早、大丈夫か……?」 自分で頂点に押し上げておきながら、流石に少し心配になって新は声を掛ける。 「……っ、ん……。あ……、っく、……んっ」 まだ余韻が残っているのか、新の声にも千早は身体を震わせている。 (……無理、させつんたかな……おれ……) 脚の間から身体を退かせ、まっすぐに伸ばしてやってから新は寄り添うように横になり、荒い息をつきながらぼんやりと薄目を開けている千早の身体をそっと抱いた。 「……あ、らた……?」 ようやく千早の両目が焦点を取り戻した。 「大丈夫か……? ごめんな、無茶やったやろか……」 「……え?」 きょとんとした声が返ってくる。 「いや、ほやでさ……今、無理にいかせてもたかなって……」 答える代わりなのか、千早は新の腕の中に潜り込むようにぴったりと身体をくっつけてきた。 「……平気。……でもちょっと、恥ずかしい……」 少し甘えたような声が腕の中から聞こえた。 「いったのが?」 「それもあるけど……新に、見られちゃったから。……その、私が……感じてる、とことか」 ぴったり密着している千早の顔が熱くなるのが肌で分かり、新は抱く腕に力を込めた。 「ほんと可愛らしい事言うな、千早って……前にも言うたかも知れんけど、おれはそういう千早も知れて、嬉しいんや」 「……じゃあ、私が知りたいって言ったら?」 腕の中で千早が身じろぎながら言う。 「知りたいって……え、もしかして、おれがいくとこって意味か? ……ほんなもん見たかって面白ないやろに、って、痛てっ」 千早の指が新の片頬をきゅっと抓り上げていた。 「不公平」 まさかそう切り返されるとは思わず、新は言葉に詰まる。 (……あかんわ、ほう言われるとお手上げや……) 返事の代わりに新は千早の額に小さなキスを落として、千早を抱いたまま仰向けになった。 「新……好きだよ」 体を入れ替えた千早の囁き声が鼓膜を打つ。それだけでも新の肩がぴくりと揺れた。千早はそのまま耳元でふっと笑い、指先をそっと新の胸板に滑らせ、気ままに撫でていく。 「……っ」 次にどこに刺激が来るか予測できない分、肌が敏感になっている気がして新の息が乱れる。 「新って実は、肌すべすべだよね……すごく、触り心地いいっていうか……」 「……知らんわ、ほんなもん……。気にした事、ないし……」 妙な誉め言葉に新の頬が紅く染まる。気が逸れた一瞬をついて、千早の指が今度は新の腿を撫で上げてきた。 「……く……ぅっ……」 咄嗟の事に、新も声を抑えられなかった。さっきから我慢を強いている分身の先からまた、露が溢れるのが自分でも分かる。 (新も、こんな声……出すんだ……。な、なんか……ドキドキしちゃうけど……、知りたい……もっと) 千早は軽く喉を上下させて唾を飲み込むと、素早く身体全体を足元の方へずらした。 「……っ……、千早、すご……っ」 細い指が新の零した露を掬い上げ、先端をそっと撫でた。千早の指が触れるたびにまた新しい露が溢れ、新のそこがぴくり、と動く。もっと触れて欲しいと思う自分と、千早の視線に晒されて恥ずかしいと感じる自分がだんだんごちゃ混ぜになっていく自覚はあったが、新自身、もうどうにも出来ないでいた。 「新は……どこが、気持ちいいの……?」 こっち? と千早が指で根元の方に触れてくると、その手を先の方へ誘いたくて新の腰は勝手に動く。 「おれ……か? ……やっぱ、……先の、方……やと、思う」 普段の自分なら逆立ちしても言いそうにない事を口走っているとは思った。 「……こっち?」 それでも千早の指が絡みついてくる快感に、気恥ずかしさはどこかに押しやられてしまう。 「ん……、っは、ヤバ……っ、千早、そ、こ……」 だんだん余裕が失せていく新の声を耳にしているうちに、千早の中にもまた熱が生まれた。 「新……」 今聞いたばかりの、新が感じやすい先端を思い切って口に含む。とろりとした露が少し苦かったが、それもすぐに慣れ、千早はおずおずと舌を伸ばし、はち切れそうなそこをゆっくり舐め始めた。 「……っく、……それ、ダメや、千早……っ! おれ……、っふ……、くっ……」 新の切なそうな声を千早はわざと無視して顔を動かした。ぐっと深く飲み込むと、口の中で新がぴくりと暴れる。 「ち、はや……、凄い、う……、あ、アカン……っ、マジで、い、きそ……や」 (新……。新が、感じて……くれてる。……やだ、どうしよう、私まで……なんか、身体が……熱いよ……) 「……んっ……ぅ……っ」 新を口いっぱいに頬張ったままの千早の唇から、くぐもった声がまた漏れる。その声が新の身体に力を与えた。少し強引に千早を引き剥がすと、身体を入れ替えて千早を布団の上に押し倒した。 「千早……っ、おれ、もう我慢できん……」 「……来て……新」 答えを聞くやいなや、新が大きく千早の脚を広げ、ぐっしょりと濡れたままのそこに一気に押し入って、叩き付けるような荒々しさで千早の中を動き出した。 「……あ、あっ……、んっ、あぁんっ! 新、新っ、どう、しよう……っ、私……また……っ!」 「千早……っ、おれも、一緒がいい、で……。いって、千早、いって……」 譫言のように繰り返しながら、新は限界まで動きを早める。 「あ、あ……あ、ダメ、もう……っ! あ、あぁぁ……ッ!」 「……ちはや……っ!」 目が眩みそうな感覚の中、新の熱が最後の一滴まで千早に向かって迸り出た。 「……?」 新が目を開けて最初に飛び込んできたのは白一色のみで、一瞬自分がどこに居るのか分からなくなる。身体の下に暖かい起伏があると気付いて、意識が急速に現実にピントを合わせてきた。 「……あ、ヤバ……」 さっき目を開けた時真っ白しか見えなかったのは、自分が俯せに突っ伏していたためだった。達した後千早と繋がったまま、暫く眠りこけてしまったらしいと気付き、新は大慌てで千早の上から身体を退かせる。 「……ほやった、後始末……」 膝で這って鞄の所まで行き、ポケットティッシュを取り出したが、千早の腰のあたりでシーツがかなり汚れているのが見え、今度は立ち上がりバスタオルを手に戻る。 「こんで大丈夫かな……」 腰の下にバスタオルを差し込んでから、何も着ていない千早の身体に浴衣を掛ける。新も自分の浴衣を適当に着て、部屋にある内風呂に湯を張りに移動した。 「……今日一日で、えらい運動したなぁ……」 旅行の移動もだが、卓球で真剣勝負をして、夕食後にかるたを取った。その前後に二度も千早を抱いている。かるたで体力を付けている新でも、全身が重く感じるのは当然かも知れなかった。 「……ん、あれ……?」 見慣れない天井が目に映り、千早は二、三度目をしばたたかせ、やっとここが温泉宿の客間だと思い出す。掛けられている浴衣や、腰の下のバスタオルはきっと新が気遣ってくれたのだろう。千早はゆっくり身体を起こし、その浴衣に袖を通した。 「さすがに、身体が重い……かも……」 そんな事を独りごちていると、襖が静かに開き、自分と同じように浴衣をいい加減に着ている新が部屋に入ってきた。 「あ、目ぇ覚めたんか。ごめんな、おれ上乗っかったまんま、ちょっと寝とったみたいで。どこも痛くない?」 言われて千早は上体を左右に振ってみる。 「ううん、大丈夫っぽい」 良かった、と新はすぐ側に腰を下ろした。 「今、内風呂の湯張ってるで、ちょっとだけ待ってな? すぐ溜まるやろし」 「ありがとう。……でもさ、今日は新の誕生日で来てるんだし、ホントは私がしたかったんだけど」 「先に目ぇ覚めたでしただけや。……んー、ほんならちょっと、膝貸して?」 横座りになった千早の腿に、ごろりと横になった新は頭を乗せる。 「……膝枕って、結構気持ちいいんやな」 「別に誕生日じゃなくったって、これくらいいつでもいいけど?」 千早の手が新の髪をそっと撫でる。新はうっとりと目を閉じた。 |