保湿系トライアルセット

物をこそ思へ 7

R18版



 一度放ったものの、身体能力的にも絶頂期にある新のそこは、千早とのキスだけであっさり勢いを取り戻す。普段自分で処理してしまう時にはなかった事に、新自身軽い驚きを覚えていた。
「……くすぐったいとか、痛いとかあったら、教えてや?」
 キスを解いてそう告げると、千早も素直に頷いてくれた。
「ありがと」
 短く礼を口にして、新はさっき千早の声音がはっきり変わった耳朶に唇で触れる。
「……んっ!」
 ぴくんと千早の身体が跳ね、思った通り鼻にかかった甘い声が上がる。

 新の唇が首筋をゆっくり這い降りていくと、千早の身体の芯にまた不思議な熱が生まれる。それを持て余しそうで左手を新の肩や背中に滑らせた。
「……っ」
 新が思わず漏らした吐息にも鼓動が高鳴って身体が熱くなる。新に気付かれるかも知れないが、それでもよかった。
「あっ、や……ぁ……」
 胸の頂点に優しくキスされて零れた声も自分のものとは思えない程、甘ったるい。熱く濡れた感触がキスを受けていたそこを撫で上げる。新の舌がもたらした、痺れにも似た感覚が千早の身体を走り抜けた。
「ああ……っ! ……あ、んっ……!」
 千早が思わず漏らす色が混じった声を喜ぶように、新の指先がもう片方にも触れてくる。
「っふ、あ……あぁ……っ、あら、た……っ」
「……痛い?」
 問われる声すら千早の全身を電流のように駆け回る。千早は何度もかぶりを振って、そうではない事を示した。

 自分の拙い愛撫でも、千早がちゃんと感じてくれている事に新は安堵する。少し大胆な気分で胸元を触れていた手を下ろし、ついさっき自分を受け入れてくれたばかりの千早のそこを探り始めた。
「……ふ……っ!」
 優しく襞を広げると、千早の身体がふるりと震える。入口を探ろうとした指先が、他と違う小さな粒を感じ取った。
「っ、あっ、やっ……ん!」
 新の指が触れる度に、千早の細い腰はそれを避けるようにも、もっと強請っているようにも見える動きを見せている。悩ましい眺めに新の喉がごくりと鳴った。
「新、新ぁ……っ、好き、だよ……っ」
 千早が感極まったように抱きついてきて、新のボルテージは一気に跳ね上がる。
「……おれもや。……好きや、千早」
 千早を探っていた手を一旦どかし、箱から出しておいた新しい包みを取って、歯で乱暴に封を切る。
(……腕がもう一本あったら、千早抱いたままでも付けれるんやろうけど……)
 抱擁を解くのが酷く勿体ないが、千早の頬にキスをして身体を起こす。さっきよりは幾分スムーズにゴムを装着した新は素早く千早の側に戻ってきた。

 「……いいか?」
 一度目と同じように千早をしっかり抱き締め直して問うと、千早はこくんと頷く。指先で確かめたそこに、正確に自身をあてがった新はゆっくり腰を沈めていった。
「ん……っ、さっき、よりは……楽、かも……」
「……ほうなんや?」
 千早が辛くないのは嬉しいが二度目となると一応は気持ちに余裕がある分だけ、呼吸に合わせて新を柔らかく締め付けてくる千早の感触がはっきり分かって新の理性が飛びそうになる。
「凄っ、……なんか、きゅうって……締まってきてる……」
「……そんなの、分かんないし……言われると、恥ずかしいよ……」
 そう答えてくるだけでも、千早の中がまた新をきつく締め付けてきた。
「動く……での?」
 千早が頷くのを見て、新はゆっくり腰を引き、また深く沈める。

 「んっ、……っ、ん……」
 愛撫の時とは違い、千早は少し眉を寄せて小さな呻きを漏らす。あまり深く差し入れては辛いだろうかと、新は繋がりを浅くして千早の入口付近で小刻みに動いてみた。
「……えっ、や、何、これ……? あ、新ぁ……っ、私、何か変だよ……っ」
 突然、千早が戸惑った声を上げる。
「辛い? やめた方がいい?」
「……違うの、そういうのと違うの……! でも、何て言ったらいいか、分かんない……!」
 自分の中に沸き上がった感覚が何なのか分からないまま千早は新にしがみつく。思った以上に強い力で抱きつかれ、新の上体が少し上にずり上がり、その弾みでごく浅い部分を行き来していた新が奥深くまでぐっと入り込んだ。
「っふ、あぁんっ!」
 一番奥まで届いたと思った瞬間、しがみついていた千早の唇から紡がれた声は、愛撫の最中に漏らした恥じらいながら感じ始めていた時のそれとも違う。何か待ち望んでいたものを得たような、そんな響きが新に一つの印象をもたらす。
(……千早も、意識してる訳でないけど……、おれに教えてくれてるんや。……どうすれば、千早が良くなるんかって……)

 確かめてみたくて新は少し腰を引き、また浅い部分だけで自身を行き来させてみた。
「……やっ、あ、んっ!」
 それから勢いよく、千早の深い所まで届くように腰を突き入れる。
「あぁ……っ!」
 千早の細い腰が持ち上がり、しがみついている手にぐっと力がこもるのが分かる。どうやらそれで間違いないらしい、と新はときに浅く、ときに深く千早の中を動きだした。
「あぁっ、ダメぇ……っ!」
 意表を突くように奥まで届かせるリズムを意図的に変えると、千早が上げる声は一層艶めかしく切羽詰まり、千早の中も新を離したくないかのようにきゅうっと引き絞られる。いくら二度目で多少余裕があるとはいえ、その締め付けに水位も限界近くまで一気に押し上がる。
「……千早、おれも……また……」
「うん……っ! ……新、新っ……! あ、あぁぁ……っ!」
 新を奥の奥まで引き込もうというのか、千早のそこがひくつくように蠢き始めた。
「あかん……っ、千早、千早……っ!」
 もはや抗う事など出来ず、新は全速でスパートをかける。
「……っ?! あ、あっ、あ……、────っ!!」
 悲鳴にも似た声とともに、千早はびくんと何度も身体を震わせながら弓のように背中を撓らせ、それからがくりと布団の上に落ちる。一緒に新の腰も大きく震えて全てを吐き出した。

 「……っ、……あ……」
 新がそっと自身を引き抜いた時もまだ、千早は意識がはっきりしないのか、どことなく名残惜しそうな小さな声を紡いでいる。
「千早?」
 後始末を終えた新が呼び掛けるが、千早はそのまま眠ってしまったらしい。
(おれも、ちょっとバテたな……。一日に二度とか、自分でした事もなかったけど……。やっぱ、千早とやで……なんやろうの)
 寄り添うように横になり、千早の片手をそっと取る。規則的な寝息が新にも眠気を運んできたようで、目蓋がゆっくり下りていった。





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written by Hiiro Makishima